その時あなたは

趣味で書いている小説をアップする予定です。

 二人は風呂を上がって、無言で体を拭き、着替えていた。あかねは下着の上に部活用のジャージを羽織ることにした。美沙はキャラクターの描いてあるこげ茶色の部屋着に着替えた。あかねも美沙も、さきほどまでのことが何だったのか、聞くことも語ることもなかった。そして美沙の部屋に行くと、美沙はベッドの上で再び泣き始めた。
 あかねはこの状態の美沙に声をかけてもしかたがない、とにかく泣き止むまで待つしかない、と思った。美沙の横に腰掛け、落ち着くように背中をさすった。
 泣き声が大きくなったり、何かブツブツと恨み事のような声が聞こえたりしたが、あかねはあえてそれに反応せず、美沙が自主的に話し始めるのを待った。
 日が完全に落ち部屋が真っ暗になった頃、静かになったな、と思ったら美沙が寝息をたてていた。あかねは立ち上がって鞄からスマフォを出し、寝続けないようにタイマーをセットして、美沙の隣で横になった。
 浅い眠りのせいなのか、あかねは向きを変えようとする度にハッキリと起きてしまった。都度、枕元のスマフォで時間を確認すると、さっき確認した時から十四、五分しかたっていなかった。
 それがなんどか続くと、あかねはもう寝ることを諦めた。そのまま暗い部屋の天井を見つめていた。
「あかね……」
「ん? 美沙、起きたの?」
 美沙も同じように天井を見つめていた。
「うん。私。何も話さないで寝てしまったのね」
「……」
「……お腹空いた。何か作るね。あかねも食べてくでしょ?」
「うん」
 美沙は立ち上がって部屋の明かりをつけ、何も言わず、そのまま部屋を出て台所の方へと行った。
 あかねも、美沙の付けた部屋明かりと、廊下の明かりを消しながら台所へ行った。美沙は冷蔵庫から手早く食材を出した。
 あかねは殆ど料理の経験がなかったので、言うべきではないかとも思ったが、このまま黙って待っているのも悪い気がした。
「何か手伝おうか?」
「大丈夫。それに、あかね、あんまり料理とかしないんでしょ?」
「うん。ごめん」
「こっちが勝手に作るんだから気にしないで」
 美沙は野菜をあらってボウルに盛り、ドレッシングをかけた。鳥肉に塩胡椒を振って、一口大に切ってから熱したフライパンに入れた。
「あかね、このボウルをテーブルに持っていって」
 あかねは美沙が鶏肉を炒めているところの後ろを通り、サラダボウルを取ってテーブルに運んだ。
「あと、ここに取皿があるから二つづつ持っていって並べて」
「うん」
 美沙は鶏肉が炒め終わるのを待ちながら、バケットを出してあかねに聞いた。
「どれくらい食べれる?」
 どう答えていいか分からなかったので、あかねは手と手で長さを示した。
「これくらい」
「わかった。それだと、お肉がちょっと足らなかったかな……」
 美沙はバケットと食べやすい大きさに切って皿に載せていった。
 部屋に鶏肉の焼けたいい匂いが広がってきた。いくつかの焦げ色を見ながら言った。
「そろそろいいかな」
 美沙はフライパンから鶏肉を、大きい皿に移してテーブルへ持っていった。
「スープはインスタントでごめんね」
「え、そんなの普通だよ」
 美沙は二つのマグカップにインスタントのスープの粉を入れると沸かしていたお湯を注いだ。
 バケットとマグカップをテーブルに並べて美沙は言った。
「あ、ごめん。座って」
「うん」
「朝食みたいだよね。ごめんね」
「そんなこと全然気にしてなかったよ」
「バターとかマスタードとか使う?」
「うん」
「醤油はそこにあるから」
 美沙はバターとチューブのマスタードを取ってきた。
 ようやく美沙が席につくと、言った。
「いただきます」
 あかねもいただきます、と言ってバケットに野菜を載せたり、鶏肉を載せたりして口に運んだ。
「ちょっとマヨネーズがあるといいかも」
「そうだね。まってて」
 美沙はマヨネーズを小皿に取って、テーブルに置いた。
「美味しい」
「調理してるのは鶏肉だけだけどね」
「そういうのが出来ないんだよね」
「慣れだよ」
「美沙、一人でご飯すること多いの?」
「そうだね」
 美沙の食事を作り終えるまでの流れは、淡々としていて、やり慣れている感じだった。ずっとこうやって食事をしてきたような、寂しいような雰囲気も感じられた。


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 あかねが体を洗い始めると、美沙が湯船から上がってきた。
「背中洗うよ」
「え、大丈夫、自分でするから」
 そう言いながら、あかねはお腹を引っ込めるように力を入れた。
「だって……」
 急に美沙があかねの背中にもたれかかってきた。美沙の体が、密着してくる。
「ど、どうしたの? 何してるの?」
「……ごめん」
 美沙の体から力が感じられず、あかねは振り返れなかった。振り返ったら美沙が床にすべり落ちてしまう。
「大丈夫?」
「……えっと……」
 美沙があかねの耳もとに話しかける。
「のぼせた、かも」
「え、え? どうすればいいんだっけ?」
「ごめんね。体洗ってる時に……」
「それはいいんだけど」
 あかねは、滑り落ちないように、後ろに手を回して美沙の体を支えた。
「私が洗ったげる……」
 美沙があかねの持っていたスポンジを取り、あかねの方へ手を回してきた。力が入っていないせいか、さっき洗っていたよりもずっとゆっくりな動きだった。
「いいよ、大丈夫だから、ね? 美沙、動かない方がいいよ」
「ううん。だって悪いもん」
 耳元で喋るのを意識してなのか、のぼせてフラフラのせいなのか、美沙の声は小さかった。その声が、耳に入ってくる度、あかねは、ゾクッと感じていた。
「こっちの手でも洗ったげる」
 美沙がスポンジを持っていない方の手で、あかねの胸を触ってきた。いや、本人は洗っているつもりなんだろう、と思い、出そうとした声を押し殺した。
「あれ……」
「美沙、どう、大丈夫?」
「これ…… おっぱいだ」
 美沙が指の間で乳首を挟むように弄り始めた。
「あっ…… 美沙、何するの? のぼせたんじゃないの? もしかして、もう大丈夫なんでしょ?」
「ううん…… まだ力が入らない……」
 スポンジを持っていた方の手からスポンジが落ちた。そして、その手はあかねの内ももの方を撫でるように滑り始めた。
 あかねは、美沙を支えている方の手を離し、その手を抑えた。
「あかね……」
 美沙の体がまた横に滑り出しそうになり、あかねは慌てて美沙の手を離して体を支える方へ回した。
「美沙、具合良くなってるんじゃないの? だって、ほら、こっちの手が……」
「ごめんね」
「何、何でごめんねなの? そうじゃなくて、胸を触るの、やっ……」
 美沙の一方の手はあかねの胸を揉み続けていた。あかねが離してしまった手は、さらに内ももを付け根の方へなで上げてきた。
 あかねは、頭が変になりそうだった。
「……や、やめて」
「ごめんね、あかね」
「美沙、どうしたの? なんでごめんね、なの?」
「ごめんね」
「あっ……ん」
 ついに美沙の手はあかねのラビア(陰唇)に達した。
 二本の指が割れ目にそうように滑り込んでいき、その奥のものを挟むようにしてきた。すると美沙は手をやさしく、そして細やかに動かし始めた。あかねは再び声を上げた。
「あん…… ん」
 あかねは、こういう時、どうしていいのか、声を出していいのか、それともいけないのか。判らないまま、声を押し殺していた。
「あかね……」
 急に強く挟んで震わせたり、奥へ指を這わせたりする度に、あかねの名を呼んだり、謝ったりしていた。
「美沙、ごめんね、ってどういう……」
「ごめんね」
「あっあっ、だから……」
 あかねは必死に美沙の体を支えながら、その美沙に体を弄られ続けた。
「あかね!」
 美沙の声が、突然別人のような低い声になった。
 あかねの胸や股を弄っていた手が離れ、美沙は立ち上がった。
 あかねは美沙を支えていた手を離し、自分の胸と股間を押さえた。
「美沙…… どうしたの?」
「ごめん、やっぱり私……」
 声の調子が変だ。あかねは立ち上がって、美沙の方を振り返った。
「美沙?」
「あかね。ごめん」
 美沙はあかねに抱きついてきた。
 しかしさっきまで感じていた淫猥な雰囲気はまるでなく、美沙は、あかねの胸で泣き始めてしまった。
 あかねは混乱したまま、とにかくお風呂から出ようと提案すると、美沙はコクンとうなずいた。


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