その時あなたは

趣味で書いている小説をアップする予定です。

 清川がちらり、と亜夢を見る。
 亜夢は人差し指でそっと顎に触れ、首をかしげていた。
「そのお休みの時は何をなさってましたか?」
「……」
「それ、言う必要あるでしょうか」
 口元が見えないせいで、三崎の表情がムッとしているのかわからない。
 声の感じも、怒っているのか冷静なのかが判断できない。
「いえ。あくまで参考までにお聞かせいただければ、というだけで」
 そう説明しているのは清川なのに、三崎は亜夢の方を見ていた。
「……そうですか。自宅にいました。それだけです」
「ありがとうございます」
 何かを読み取ろうとしているかのように、三崎がじっと亜夢を見つめる。
 三崎のマスクがもぞもぞと動いた。
「あの、そのヘッドホンかわいいですね」
「あっ、これヘッドホンじゃ……」
 言いかけて、亜夢は『じゃなくて、これはキャンセラー……』と、言ってはいけないことに気付いた。
 亜夢は誰かを探すようにあたりを見回した。
 清川がそれに気づいた。
「?」
 亜夢は清川の顔を見て、それから三崎の顔をみた。
 ヘッドホンを耳に当てなおして、言った。
「そうですか。ありがとうございます」
 三崎は首を傾げた。
「?」
「質問は終わりです。ご協力ありがとうございます」
 三崎は立ち上がり、亜夢を一二度見てから、奥のオフィスに戻っていった。
 亜夢と清川は相談して後一人についてどうするかを話し、今回はあきらめることにした。
「長々とお邪魔してすみませんでした」
 オフィスの外に出ると、そう言った。
 最初に出てきた女性が、エレベータホールまで出て見送ってくれた。
 一階まで降りて、エレベータを出た瞬間、清川のスマフォが震えた。
「加山さんだ……」
 困ったような顔で亜夢を見た。
「けど、出ないと」
「もしもし」
 言った瞬間にスマフォを耳から遠ざけた。
 かなりの音量で、亜夢も目をまるくしていた。
「加山さん、すみません」
 亜夢は手を合わせて清川に謝るようなポーズをした。
「います。大丈夫です」
 清川は亜夢に指で行先を指示しながら、言う。
「いきます、すぐいきます」
 小走りに走りながら、清川はたずねる。
「最後の人、なんなのかな?」
 亜夢も追いかけるように走りながら、答える。
「何かあると思います。もしかすると、超能力者なの、かも」
「えっ!」
 清川は急に立ち止まる。
 亜夢はかわしきれずに清川にぶつかる。倒れそうになる清川を抱きとめた。
「ご、ごめんなさい!」
「えっ、いいのいいの。うん。ごめんなさい、というよりごちそうさま、って感じかな」
 二人はゆっくりと体を離した。
「?」
 亜夢が首をかしげると、清川は言った。
「超能力者同士って、相手を認識できるの?」
「学園ではそうですね。テレパシーを感じます」
「えっ、じゃ、さっきの…… 三崎とかいう人からも」
 亜夢は黙って清川を見つめる。
「ちょっと違うんですけど…… 似たような感覚はありました」
「ちょっと違う? 超能力者じゃないの?」

 しばらく互いの体を確かめ合った後、先生の呼吸があらくなってきた。
 すると私の肩に手を載せて、体を押し離した。
「……先生っ」
 私は先生の腰に手を回してもう一度体を合わせようとした。
「ごめんなさい」
 先生はそういうと、私の手を払った。
「もう時間も遅いわ。清掃もしなければならないし」
 その気にさせたのは先生なのに…… 私は憤っていた。
 体を洗って、湯船につかり、先生が言うように床を流した。湯船は機械で循環しているから、月一ぐらいの清掃で済むのだそうだ。
 お風呂場の床を流し終えると、脱衣所に掃除機をかける。
 カゴ類を逆さにしてホコリを払い、カゴを置いているボックスをぞうきんでふき取る。
 新庄先生が掃除機をしまうと、私は肩を叩かれた。
「ありがとう。もう終わりよ」
「……」
 私は先生の後をついて、脱衣所を出た。
 どこの部屋でも寝れない私は、先生の後をついて行って寮監室に行くしかなかった。
 私はソファーに横になり、毛布を頭からかぶった。
 新庄先生はまた机に向かい、何か書類の作成を始めた。
「おやすみなさい」 
「(おやすみなさい)」
 小さい声で返事をした。怒っていることを伝えたかったのだ。
 キーボードの音が止まり、近づいてくる気配がした。
「|白井さん(・・・・)」
 私は慌てて毛布から顔を出した。
 新庄先生は腰に手をあて、私を睨んでいた。
「ふてくされるのやめてもらえるかしら」
 私はソファーに正座した。
 そして、頭を下げた。
「そう。立場を考えてもらわないと」
「ごめんなさい」
「もういいわ。|おやすみなさい(・・・・・・・)」
「おやすみなさい」
 はっきりとそう言うと新庄先生はまたパソコンへ戻った。
 私はソファーに横になると、毛布をかぶった。そして声を立てないように泣いた。
 泣いているのがばれたら、またこっちに来て何か言うにきまっている。
 今まで何事もなかった寮で、私はすべてを失ってしまった。
 友達も、先輩も、仲間だと思っていた先生も……
 泣いているうち、私はいつの間にか眠っていた。
 私は寒さで目が覚めた。
 新庄先生はまだベッドで寝ているようだった。
 体がきしむように痛かった。何か変な恰好のまま固まってしまったような感じがした。
 体を起こして、手足を伸ばしていると、先生のベッドでアラームが鳴った。
 先生はさっと着替えると、調理場の方を指さした。
「朝食の用意を手伝ってもらえるかしら」
 無言で従うしかなかった。
 朝食の用意が終わり、自分も朝食をとっていると、新庄先生がやってきて言った。
「今日は、朝食の食器片付けまでやるからね」
 気持ちが悪くなってきて、半分も食べないうちにトレイを下げた。
 そして調理室側に入り、寮生が持ってくる食器類をかたずけた。
 先生と一緒に食洗機に入れる作業を終えたときには、食堂には誰一人いなくなっていた。
 調理室の椅子に座ると、先生がポンと肩を叩いてきた。
「白井さん。あなたと私だけ、最後の便になるから」
「えっ、私のクラスが一番最後のバスじゃ……」
「その後に、もう一往復してもらうことになったの」
 クラスのみんなとはいっしょのバスには乗れない。
「さすがにもう一往復後だと、授業が始まってるんんじゃ?」
「それは承知の上よ。私が話をつけているから大丈夫」
「私が〈転送者〉を倒せるとか、学校が知っているんですか?」
「しっ、そんな話をして信じる人はいないわ。そんな話をしたら私も巻き込まれる」
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「あ、私……」
「寝てたみたいね」
 新庄先生はにっこりと笑った。
「お風呂に入るけど、終わったら掃除。覚悟してね」
「はい」
 新庄先生と私はお風呂へ向かった。
 灯りすべて消えていて、全員が風呂を終えていることが分かる。
 先生は良く分からないうちにさっさと服を脱いで、風呂場へ入っていった。
「は、早い……」
 私も服をカゴに入れると、お風呂場に入った。
「洗いっこしましょう。私、ずっと一人だから、寮で暮らしてくれ、って言われてこういうの期待してたんだけど」
 私は投げられたスポンジを受け取った。
「よく考えたら寮監はやっぱり一人でお風呂はいるのよね」
 クスッと私は笑った。
「私から洗ったげる」
 くる、っと肩を回され、先生に背中を向けた。
 一瞬、翼のあたりに意識が集中した。
「大丈夫。万が一翼がでちゃっても。私は知っているんだから」
「えっ、なんで」
「筋肉の緊張が見えたから、たぶん、そんなことだろうと」
 そう言われると、とても気が楽になった。
 背中を洗い終えると、今度は私が持っているスポンジで、先生の背中を洗った。
 しっかりくびれがついていて、とても綺麗な背中だった。
 先生のお尻を洗っているときに、足が滑って顔をお尻にぶつけてしまった。
「あっ!」
「ご、ごめんなさい」
 先生は振り向いた。
「わ、わざとじゃありません」
「分かってるわ。あと、顔に泡ついてるわよ」
 ちょん、と鼻先を触られた。
 私は引き続き足を洗ってから、立ち上がった。
「じゃ、今度は前ね?」
「前も洗いっこするんですか?」
 新庄先生が、にやり、と笑った。
「えっ、ちょっと、エッチなこと考えてませんか?」
「誰がそんなこと考えてるの? ね、興味あるから、どんなことされると思っているのか教えて」
 新庄先生は私の手の先からスポンジを行き来させながら動かし、肘、肩と進んでくる。
「ほら、どうされるの?」
 あごのした、首、うなじにスポンジが動いていく。
「ねぇ。私も洗って?」
 言われた私は慌てて先生と対になるように、先生がスポンジを持っていない方の手を洗った。
 お互いの体が近づいていく。
「背中、は洗ったわよね」
 先生の視線が喉から胸へ下がっていく。
 スポンジではなく、指がすっと私の肌の上を降りていく。
 胸の突起を探し当てると、いたずらにその周りを周回し、時々はじくように刺激する。
「……」
 先生は、自身の胸を見てから、私の目をみる。同じようにして、と言いたげだ。
 私も同じように指を下していくと、先生の乳首をつまんでいじった。
「……あっ」
 先生は反応して声を上げた。これが大人の女性の反応なのだろうか。
 私も刺激に耐え切れず、声を上げてしまう。
 先生は腕を回してきて、顔を近づけてくる。目をつぶると、先生の唇と重なった。
 キスから軽く唇を噛みあうと、先生は舌を絡めてきた。
 私は先生の大きな乳房を何度も持ち上げるように感触を味わう。先生は私のお尻に手を回して触りながら、腰を押し付けるように動かした。
 お互いの体が本能のままに求め合った。
 ボディソープの泡で、滑るように合わさる肌と肌。
 どこが触れたせいで声を出しているのか分からないほどあちこちが刺激的だった。
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