「……ということらしいよ。だから終業式の日は荷物沢山だね」
 薫と真琴は栞を見ながら合宿の話をしていた。真琴は、終業式の日に大荷物をもって学校にきて、そのまま泊まりになる、と聞いて、何か不思議な感じがした。
「学校に泊るってなんかワクワクするね」
「そう? 普通のキャンプより、知ってる景色の中でやる分、つまらないような気がするけど……」
「そんなことないよ! 知ってる風景だからこそ、違った感じがするんだと思うよ」
 真琴はノってきた。なんとなくこういう反応になるかな、と思っていた薫は、思った通りの反応に嬉しくなった。
「そうだ、終業式の日は荷物多いでしょ? 早めの電車に乗る? いつもの電車だと混雑してるからさ」
「そうね。そうしましょうか」
 二人は終業式の日から始まる『生徒会の合宿』の話をしていた。
 メラニーはそんな会話を聞きながら、車を真琴のマンションまで走らせた。
 大通りの角を曲がり、静かなわき道をゆっくり走ると、真琴のマンションについた。
「ここでよろしいでしょうか?」
 メラニーが後ろを向いて尋ねた。
「うん、ここでいいよ。ありがとう!」
 真琴は自分で出ようとするが、メラニーに止められた。
「私が開けますので、お待ちください」
 メラニーが真琴の側のドアに周り、ドアを開けて見送った。薫も開いたドアから手を振って、
「また明日」
「おやすみ」
 真琴が手を振った。
 メラニーが乗り、真琴の姿が見えなくなると、薫は表情を変えた。
「今日のことはどう説明するの」
「はい。すみません」
「そうじゃないでしょう。あなたは真琴をどうするつもりだったの」
「別にどうするつもりもありませんでした」
「ウソ! 私が何も見てないとでも思うの?」
 車の挙動が変だった。曲がるタイミングがいつもより遅い。薫は問い詰めることがメラニーの運転に影響していると思った。
「続きは家に帰ってから聞くわ」
 メラニーは、つばを飲み込んだ。
 それから家に着くまでの間は、運転には特に変なことは起きなかった。薫は無言で外を見つめていた。ただ表情は明らかに不機嫌だった。
 メラニーは緊張したまま、やはり何も喋れずにいた。年下の薫に追い込まれていることに、少し苛立ちがあった。普段は教育係であり、母代わりなので、こんな風に上下関係が狂ったことはなかった。   
 あの時を除いては。
 家につくと、メラニーはドアを開けて車から薫を下ろした。薫はフランシーヌと一緒に玄関に入っていった。メラニーはその間に車庫に車を入れた。
 家に入ると、フランシーヌとロズリーヌの姿は無かった。 薫が上のフロアに行かせたようで、階段の方から話し声が聞こえた。
 薫はメラニーに指で行くところを支持された。そのまま歩いていく先は、脱衣所だった。
 薫は、メラニーが立ち止まってじっとしているのを立って見ていた。メラニーは薫をみたが、先に行けとばかりに手で合図するだけだった。
 メラニーは薫と反対を向いて、服を脱ぎ始めた。後ろから、あの目で見られていることが分かっているのに、いや、分かっているからこそ脱がなければならない。
 最後の下着を脱いだ時、少しだけ薫の方を振り返った。メラニーはその時、すべてを見られていると悟った。
 浴室に入ると、温度が上がるまでシャワーを流し終えると、シャワーヘッドを高い位置に固定した。
 メラニーの褐色の肌の上を、お湯がすべり落ちていく。一通り体に浴びた頃、戸の外で薫が服を脱ぎ始めたのが見えた。
 そして戸の影の動きが止まると、全裸の薫が現れた。
 メラニーは怯えたように震えだした。
 何か薫から発せられるオーラのようなものに気圧され、背中を壁につけていないと立っていれない程だった。
 人の姿をしているもの同士なのに、何か獣の序列のようなものを感じ、抗えない何かが二人の間に働いてるようだった。
 薫が近づくと、メラニーは体を返して背を向けた。
 薫は後ろからメラニーの乳房を触り、もう一方の手はゆっくりと陰部へと動いた。何かを探しているかのような動きの後、薫は探り当てたモノへの侵略を開始した。