ミキ、サキが肝試しに行っている間、真琴と薫はこの肝試しの話をしていた。
「そもそも、このペアにしたのは誰だとおもう?」
 ペットボトルのお茶を手にした佐藤が、ちらっと真琴の方を見たような気がした。
「私は佐藤さんだと思うよ。普通に考えて」
「そうだよね。作戦だよね。自分が会長と一緒になるように仕掛けて」
 薫が少し声が大きい、という感じに手を下げるようなしぐさをした。
「これ、異議がある人に挙手させるでしょ? 会長が挙手してきた場合、もしかしたらペアになれないかもしれない、って思うじゃん?」
「真琴がどれだけ心理を読めるのか聞いてやろうじゃないの」
「完璧だよ。会長が、異議あり、で挙手した場合、佐藤さんは、『自分を意識している』と解釈することが出来るよね。本気で嫌いなら別の意味で挙手してくるかもしれないけど」
「ふんふん」
「逆に、それを読まれた場合は、会長は異議を唱えないことになる。佐藤さんを意識している、と伝えることになるからね。二人っきりになれる、か、相手の気持ちを確認できる、という作戦なんだよ」
「それだけ?」
「それだけじゃないの?」
「作戦はそれで良いのよ。結果から、会長の心理はどう読めるの?」
「そうそう。結果、挙手せずに一緒に肝試しした。ということは、少なくとも佐藤さんは嫌われてないよね」
「ちがうでしょ?」
「え、会長は佐藤さんのこと好きなんだよ」
「そうじゃなくて」
 薫は一息入れて話し始めた。
「会長はとにかく挙手しなかった。つまり好きにせよ嫌いにせよ、佐藤さんを意識したような感情を周りに知られたくなかったのよ。こうなんていうか、秘めた思い、というか……」
 薫と真琴は頭を叩かれた。
「そこら辺にしなさい」
 珍しく会長が自分で行動してきた。
 佐藤に指示して、この話に聞かれるのも恥ずかしいだろうから、自分で行動するしかなかったのだろう。
「……ということで良いでしょうか?」
「ほら、ランタンの光が見えたわ。そろそろ準備して」
「ボク、トイレ行ってくる!」
「真琴まって私も行く」
 二人は校舎の外側にあるトイレに走って行ってしまった。
 京町は突然、佐藤の存在が気になり始めてしまった。薫と真琴がごちゃごちゃ言っている事がなんとなく耳に入ってしまったせいかもしれない。
「副会長、私、飲み物でも買ってくる」
「会長、良ければこれ飲みますか?」
 佐藤は自分の飲みかけのお茶を会長に差し出した。
「う、うん。ありがとう」
 京町はそれを受け取ると、ゆっくりとキャップを回し、目をつぶって飲んだ。味はほとんど分からなかった。
「戻りました〜」
「怖すぎですよ、あの祠」
 ミキとサキが会長に言った。
 京町はさっとペットボトルに蓋をして、ミキとサキに言った。
「は、はやかったわね。お札をみせなさいよ、本当にとってきたの?」
 ランタンを掲げて、会長にお札をみせるとミキが言った。
「会長さん顔赤いですけど、どうかしました?」
 サキが言った。
「チューでしょ? チュー。だって二人っきりだったもん」
「え? 薫と真琴がいるわよ?」
「ミキさんサキさん、お帰りなさい」
 今来たように真琴が言った。
「どうしたの?」
「あなた達の番よさっさと行きなさい」
 会長は言った。
 薫と真琴は顔を見合わせた。
「行ってきます!」
「どうしたのかしら、会長?」
「チューしているところじゃまされたから怒ってるのよ」
 サキが言った。
 会長は叫んだ。
「そんなことな〜〜い!」