涼子は、組んでいた腕と、足をただして、真琴の方を向いた。真琴には涙をすする暇はなかった。
「ごめん。空気読めないわけじゃないけど。これだけは言わせて」
 涼子は胸の前で右の指を左手で包むようにあわせた。
「私も。私、渋谷涼子も、新野真琴さんが好きです。たとえ、真琴さんが薫さんを好きだとしても」
「!」
 言い終えると、涼子は震えるように瞳を閉じた。涼子の言っていた、決着という言葉を、真琴は思い出した。
 真琴は身を乗り出して涼子の手に触れて言った。
「ごめん涼子。今はそれしか言えない」
 涼子は顔を伏せてしまった。
 真琴の手に涙が掛かった。
 そして涼子は立ち上がって言った。
「うん」
 席を立って、涼子は奥の扉に消えていった。
 薫は泣き出していて、顔をハンドタオルで覆っていいた。真琴は薫の席に移ると、薫の肩を抱き寄せた。

 店を出ると、小雨が降り出していて、傘の無い真琴と薫は鞄で雨をよけながら街を歩いた。
 薫は地下道の入り口を見付けて指さし、真琴もついていった。
 地下道を進んでいくと、地下駐車場への扉があって、薫がそこを入るから、真琴もそこを入った。駐車場には、見覚えのある車が止まっていて、そこからメラニーが出てきた。
 薫はメラニーから何か渡されると、メラニーは直ぐに車の運転席に戻っていった。
 薫が手で示す方へと、二人は進んでいった。階上へと上がるエレベータにつくと、薫は9階のボタンを押した。
 エレベータのドアが開くと、絨毯敷の通路を奥へと入って行き、薫が扉を開けた。
 真琴は促されるままに部屋に入り、薫も外側に何か表示をしてから扉を閉めた。
 窓にはカーテンが掛かっていて、薄っすらと外の明かりが判る程度だった。窓には雨があたっていて、音という音がその雨音だけのようだった。
 薫が真琴の腰に手を回し、顔を真琴に寄せてきた。
 真琴は上から薫の顔をそっとなでてから、背中に手を回すとグッと力をいれた。
 薫は目をつぶった時には、真琴はその唇を重ねていた。
 真琴は、その唇が熱いのか冷たいのか、そんな感じさえ分からないほど舞い上がっていた。
 薫が唇をなめてくるので、同じように真琴も仕返していると、舌と舌がからまりあい、互いの口の中に差し込まれていった。
 部屋に聞こえるのは雨音ではなく、互いの吐息になっていた。
 いつのまにか二人はベッドの上へと移っていた。
 薫の髪のリボンが解けると、広がった髪の毛が真琴をおおった。
 薫が真琴の耳を噛み始めると、真琴は薫の制服の下に手を差し込んでスカートをおろしていた。
 二人共スカートを外すと薫が再びゆっくりと重なってきた。
 さっきまでとは違う、素足が互いに絡みながら求めるように擦れあうと、さらに一つ快楽のレベルが上がった気がした。
 薫が上着の裾から手を差し込んで、胸を探し始めると、真琴は体を返すように転がった。
 薫は真琴のブラ抜きとると、そのまま胸をまさぐった。真琴は上着を脱ぎさって、薫の上着を脱がせ始めた。
 肌が露出されるたび、唇が新たな場所を求めてキスをしたり、吸うように、探すように互いの肌を撫でた。
「あっ」
 こすりあっていた足が薫の奥へあたる時、大きな声とともに体が反応していた。真琴はそれを故意に強く、小刻みに変化させると、薫は喜んでいるように声を上げた。
 薫の両の手が、真琴の腰にかかり最後の下着が取り払われて行った。
 真琴はベッドを背中にして横になりながら、腰を浮かせて薫を促した。