美沙が帰った後、あかねは強烈に自慰がしたくなっていた。
 美沙が本気だったら美沙が満たしてくれそうだったが、やたらベタベタと体を合わせてくるのに、肝心の一線は超えなかった。本人がいた時には感じなかったことが、今になって感じられる。いっそ美沙についていって、美沙の部屋に行きたい。もっと触れ合っていたい。あかねは、感じたことのなかった強い欲求にとまどっていた。
 本当にこの気持をなんとかしたい。
 経験上、こういう気分の時は自慰をして処理していた。
 だが、今すぐに部屋にもどってそんなことをする時間はない。
 さすがに母も買い物から帰ってくる。そしたら部屋に来て私の顔を確認するだろう、母はそういう人だ。弟だっていつまでも外で遊んでいる訳もない。帰ってきたら私の部屋の扉をノックして、起きていれば入ってくるだろう。確実に部屋に一人きりになれる状況を待つしかない。
 あかねがそんな事を考えながら過ごしていると、弟が帰ってきて、その後に母が帰ってきた。夕食の蒸気が家中に漂ってきて、出来上がった食事がテーブルに並べられる頃、父が帰ってきた。完璧に計算されたようなタイミングで一家の夕飯が始まった。
 母が言った。
「あかね、体調、よくなったんでしょ?」
「うん」
「明日は行けそうか?」
「うん」
「姉貴のは仮病だろ」
「うん…… って、ぶん殴るぞ」
「元気戻ったな」
 そして全員が笑った。
 あかねの家族の中で、決まり事のようにそんな一連の会話が進んでいった。あかねもこんなやり取りは判りきっているのだが、そこ安心を感じるのだった。
 食事が終わり、あかねが食器を重ねていると、やまとが言った。
「後片付けは俺がやるよ」
「ありがとう」
「今日はあかねが先にお風呂入って」
 母が言うと、父が応えた。
「ああ、そうだね。早く入って、寝た方がいい」
 あかねはうなずくと、風呂場に行って歯を磨き、湯船につかった。着替えて、居間にいる父母弟に、おやすみなさい、を告げると、二階の自分の部屋に入った。
「ふぅ」
 自分の部屋に戻ると、抑えていた欲求がまた高まってくるのが分かった。何を考えながらヤルか全く考えていなかった。以前の、人気若手俳優が夜這いしてくるシチュエーションをボンヤリ想像しながら、ベッドに潜り込むが、なんだか全く捗らない。
「……」
 美沙のことを思いだすが、それも何か生々しいせいか、全く盛り上がらない。折角皆が居間にいる時にベッドに入れたのだから、盛り上がりたかったのに……
 あかねは、フト机に開きっぱなしの女性アイドルグループの写真に目がいった。
「?」
 少しこの娘達の写真を眺めながら、どういう人間関係なのかを想像した。ついこの前、青葉に行った際にぐるっと劇場近辺を回ったことも思いだした。
 あかねが、一押しにしている娘ともし、自分が入った入ったとしてどうなるかを考えながら、何故かその子に押し倒されて、色々と素敵な関係になっていくことを考えた。
「ん……」
 あかねは、思ったよりずっと捗ることが分かって、ドンドン過激な想像を進めていったのだった。


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