放課後、たまちと真琴は職員室の辺りに行って、WiFiとかでインターネット接続出来ないか調べていた。といっても、調査するような機械があるわけではなく、じっとスマフォの画面を見ているだけだった。
「職員室は無線じゃないのかな?」
「ちょっと金田先生に質問するフリして入ってみようか」
 たまちは鞄から国語の教科書を出して、職員室に入った。真琴もおそるおそる付いていき、周りの様子を見た。
「どうしたの浜松さん」
「教科書のこの部分なんですが、どういう心情なんでしょう。良くわからなくて」
 え、心情? そんな国語の質問ってあるんだ? 真琴は先生の机の上にあるパソコンにケーブルが出ているのを確認しながら、たまちの後ろに立った。
「……と思うよ。先生は。あれ? 新野さんも質問?」
「い、いえ私は付き添いです」
「そう。浜松さん、新野さんに国語教えてあげてね。あのね、勉強って教える方にもメリットあるのよ……」
 金田の話しは適当に聞き流して、他の先生のパソコンや壁についている機器をみていた。ホワイトボードのような大きなモニタがあったが、やはりそれもアンテナではなくて、ケーブルが刺さっているようだった。真琴は耐えきれずに、直接聞いてみた。
「あの金田先生」
「なにかしら?」
「職員室のパソコンって、全部ゆうせん式なんですか? むせんのはないんですか?」
「え、ああ、無線のはないわ。全部有線のやつね。ちゃんと登録したパソコンじゃないとケーブルに繋いでも通信出来ないのよ。ほら、成績とか個人データ扱うでしょ?」
「へぇ、そうなんですね」
 なんだ、最初から聞いてみれば答えてくれたんじゃないか、と真琴は思った。
「急にパソコンなんかの話ししてどうしたの? そういうの、勉強してみたい?」
 真琴は少し戸惑ったが、続けてきいてみた。
「あ、えと、IT教室みたいなところありますよね? パソコンいっぱい置いてある部屋。あれ、放課後とかに使えないんですか?」
「えっと…… 何かそんなこと誰かに聞かれたな。木村先生、誰でしたっけ?」
 反対側の机に座っていた教師が顔を上げた。老眼なのか、頭にメガネを載せていた。
「え、もう忘れたんかいな。隣のクラスの田畑まさみ、が聞きにきよった。教室を借りたい、ゆうて」
「教室、借りれるんですか?」
「先生がついとれば使用できるな」
「それで、田畑さんは借りたんでしょうか?」
「そこまでは知らん」
「そうそう。田畑さんが聞いてたのよ。あれ? この話しちょっと前にしたわよね?」
「金田先生、それはゆうたらあかんやつでしょ」
 木村先生が口に手を当てた。
 真琴は涼子のことで警察が動いたのだろう、と察した。
「そ、そうですかありがとうございます」
「浜松さんはもう質問は良いの?」
「はい、よくわかりました。ありがとうございました」
 たまちが教科書を鞄にしまうと、二人はお辞儀をして職員室を出た。
 その日の帰り、学校から駅に向かう途中で、浜松は言った。
「良かった、変に疑われずに色々聞けて」
「たまちのおかげだよ」
「いや、金田先生の天然ボケのおかげだよ。あれを木村先生に聞かなかったら、情報殆ど得られなかったよ、きっと」
「そうかもね」
 真琴はそう言って笑った。
 たまちが立ち止まり、ビックリしたような表情だった。何を見ているのかと真琴が振り返ると、そこには緑川が立っていた。


 ーーー
いつもありがとうございます。
お手間でなければクリックをお願いします→にほんブログ村