美沙が髪を洗い終え、体を洗い始めた。あかねは体が温まってきたので、上半身を湯船から出すように腰掛けた。
 見ていると、美沙の洗い方が余りにたどたどしいので、あかねは声を掛けた。
「背中流そうか?」
「ホント? ありがとう」
 あかねは美沙からボディスポンジを受け取ると、自分を洗うような感じで背中をこすった。
「痛い!」
「ご、ごめん!」
 あかねは、慌てて手を止め、自分の肌をそのスポンジで洗ってみた。とくに固くて肌が切れるような感じはしなかった。
「自分がこんな感じで洗ってるから…… ホントとごめん」
「こっちこそごめんね。ちょっと勢い良くてビックリしたのかも。背中、赤くはなってないでしょ?」
 あかねは美沙の背中をじっとみた。特に赤いとか擦り傷があるようなことはなかった。
 そうやってじっとみていると、余計なことが頭の中をよぎる。それは『おっと手がすべった』的に胸を触って見たいとか、そういうことだった。
「あれ? なんか赤くなってる?」
「ううん、平気。どこも赤くなったりしてないから」
 そう言ってから、あかねはまた自分の妄想のストーリーを進めた。『美沙、本当は結構胸大きいのね』、『やめてよくすぐったいから』、『ポヨポヨだね。もう少し触らせてよ』
「あかね?」
「ご、ごめん。そっと洗うね」
 あかねは美沙の背中を自分の体を洗う時間の三倍も四倍もゆっくりとスポンジを動かして洗った。あらっている自分の方がこそばゆく感じるほどだった。
「はい、終わったよ」
「ありが……」
「!」
 そう言って振り向いた美沙が、座っていたバスチェアーから滑るように倒れかかってきた。膝建てで座っていたあかねは、とっさに美沙を受け止めた。
「ご、ごめんね」
「どうしたの、フラフラしてるみたいだけど」
「最近ちょっと貧血気味なんだ……」
「そういう時はね、レバーとか食べると良いっていうけど」
 あかねは、真面目な受け答えをしながら美沙の体の感触を楽しんでいた。
「立てる?」
「うん。大丈夫。はい」
 スポンジを受け取ったが、あかねは、もう次に何をするのかを忘れていた。
「なんだっけ?」
「あかねが体洗う番よ」
 あかねは笑って、
「そうだった」
 と言った。
 美沙が、あかねの背中を洗おうと待っているようだったので、
「遠慮しとくよ」
「良いよ、大丈夫。背中流すから」
「えっと…… じゃ、先に髪洗うから湯船でゆっくりしてて?」
「わかった」
 あかねは髪を洗っている間も、美沙のことを意識していた。自分の方を見られている、と思うとすこしお腹を引っ込めなきゃ、と思った。
 温泉とか、銭湯に入った時はこんな事、感じたこともなかった、変な緊張感がそこにあった。二人きりでお風呂、というのは単純に素敵なことばかりではないのか、と思った。


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