食事を終えると、あかね達は美沙の家に向かった。美沙の家のパソコンを借りて、もう一度あかねのスマフォをセットアップしようとしていた。
 美沙の部屋に入り、美沙が持ってきたノートパソコンの電源を入れた。あかねのスマフォのアカウントで入って、アドレス帳を開くと、それを保存した。
「これさえ取っておけばスマフォのアカウントを作り直しても読み直せるの?」
 あかねの背中に美沙がピタリとついていたた。
「そういうことね。新しいメアドを作ったら、このパソコンでも同じメアドで入って、このファイルをインポートすればいいよ」
 あかねはノートパソコンのパッドに慣れていなかったので、時折、美沙が操作を手伝ってくれた。
「あっ、そうだ。 アプリはどうなるの?」
「アプリは自分で取り直すしかないかな」
「じゃ、買ったものは引き継げないよね」
「うん。それは仕方ないかな……」
「美沙、どうしたの?」
「何が?」
「やたら密着してくるから」
「嫌?」
「嫌じゃないけど」
「なんかそうしたい気分なの」
「ちょっ……」
「どうしたのあかね」
「美沙……」
「あっ……やん」
「腕に頭のせられたら、キーボード打てないって!」
 あかねは、腕にのせてきた美沙の頭を振り払った。
 あかねはスマフォの画面を見て、一瞬ためらったが、初期化の操作を行った。
「はぁ…… やっちゃった」
「まだ前のメールアドレスはあるんだから大丈夫よ」
「けど、もうこっちは使わないから」
「あかね、新しいメアドどんなのにする?」
 美沙は今度は肩に頭をのせてきて、そう言った。
「わかんないな。akanecchoとか?」
 あかねは画面にタイプしてみせた。
「それって『あかねっちょ』って読むの?」
「まぁそんな感じ」
 美沙がキーボードに手を置いてタイプし始めた。
「こんななのは? akane-love-misa」
 うわっ…… とあかねは思った。
 ただ、そのまま伝えたらきっと美沙が悲しんでしまう。
「二人専用でメアド作るなら、それでいいんだけど…… ちょっと他の人に教えるのには抵抗あるっていうか……」
 美沙は更にキーボードを打った。
「じゃ、ここをlove-ymならいい?」
「うんと、メアドにlove入れるのに抵抗があるな……」
「えっ……」
 美沙が急に真剣な声を出した。
 あかねは体をひねって、可能なかぎり後ろを向いた。
「私のこと好きじゃないの?」


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