「美沙のこと、好きだよ。けど、メアドにloveは……」
「じゃあキスして」
 あかねは目を閉じて待っている美沙にキスをした。
「もっと」
 濃いチューが欲しいのね、とあかねは思った。思い切って舌を美沙の唇の隙間へ押し込むようにしてキスをした。
 息が漏れるようなため息を何度か繰り返す間、二人はずっと唇を重ね、互いの舌を絡めていた。美沙が、ちょんとあかねの体を突き放すように押して、キスが終わった。
「……わかった。メアドにloveはなしにしてあげる」
「ありがと」
 しかし本当にどういうものにしようか、とあかねは考えた。 
「akaneironochoco(あかねいろのちょこ)とか、どうかな」
「長いけどまあ良いんじゃない?」
 美沙に良いんじゃないか、と言われ、あかねはそのメアドにすることに決めた。とにかく、スマフォの件に、早く決着を付けたかった。
「よし、これで作っちゃおう」
 あかねはメールアドレスを取得し、スマフォに設定した。これでもう過去とのつながりは何もない。まっさらのスマフォになったのだ。
 美沙のパソコンからとりあえず連絡帳だけは移行するから、それだけが頼りだった。後のアプリとか、サイトは、メアドが違うから設定し直すか、この際新しいアプリにするか考えねばならない。
 本当に使えるようになるまではまだまだ先だ。
「はぁ……」
「これでキレイになったんだから」
「そうだね。これで良かったんだよ、きっと」
 あかねはスマフォを見つめながら、自分に言い聞かせるようにそう言った。
「あかね、そういえば」
 美沙が手招きするので、再びパソコンの前のイスに座った。美沙がまた後ろから、背中に被さるように座ってきた。
「そういえば、って何?」
「昨日さ、中西先生がストーカーは罰せされるって言ってたじゃん?」
「うん…… 美沙を巻き込んでしまってごめんね」
「いや、そうじゃなくてさ。いわゆるストーカー規制法ってさ、繰り返し追跡行為をしたり、会うように何度も要求したり、監視しているぞ、と脅したり、って話しらしくてさ」
「え、どういうこと」
「これ見てよ」
 美沙が、あかねの後ろからキーボードをパタパタと叩いて検索し、結果をパソコンに表示させた。
「どれどれ…… ストーカー行為とは『つきまとい』行為を繰り返し行うことである、か。確かに私達は繰り返してないよね?」
「そうよ。どこまでこっちの状況を把握していたのかわからないけど、繰り返していることを証明出来なければ、恐れることはないんじゃないかなって」
 あかねは、後ろからパソコンへ延びている美沙の手を取って、手を叩いた。
「なんだ、川西おそるるに足らず! ってこと?」
「そうね。ちょっと写真とったぐらいでこっちは怖くないぞ、ってことよ」
「良かった」
 あかねは美沙に体を預けるようにもたれかかった。本当に巻き込んでしまって申し訳ないことをした、という思いから解放された。


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