しばらく考えて、あかねは決断した。
「分かった。河原でもなんでも行くから」
 もし美沙がいなくても、それは悪いことではなく、良いことなのだ。もし河原に見さが呼び出されていて、危機的状況にあったとすれば、その時もあかねが行くことで美沙が救われれば、それで良い。
 どちらにせよ、河原にいかなければ出来ないことだ。
「なによ、急に」
 山川はそう言うと、あかねの顔を覗き込んできた。
「あかね、あなた何か企んでない?」
 ミチはあかねの後ろに回って何かを探しているようだった。
 ミチは無言であかねのお尻を触ってきた。というより、ポケットを確認しているようだった。
「なによ」
 シャツの胸ポケットも触ってきた。
「何も入ってないことぐらい、見れば分かるでしょ?」
「後はバッグね」
「あかね、バッグ開けなさい」
 あかねは、スマフォが見つからないように傾けながら、持っているバッグを開けて見せた。
「何を探してるの?」
「携帯かスマフォよ。撮られたり、録音されないように」
 町田がバッグから覗き込んでいるが、気づかれずにすみそうな雰囲気だった。
「ちょっと待って」
 神林はスマフォでどこかに連絡をしているようだった。
「もういいでしょ。あんた達、カツアゲまでするの?」
 神林が言った。
「ちょっと待ちなさい」
「みく、あんた誰にかけて……」
 その時、あかねのスマフォが震えた。
 何故なのか全く分からなかった。
 しかし、目の前の現象からすると、神林が自分のスマフォに電話を掛けたようにしか思えなかった。
「あっ、なんかあるよ」
 町田がバッグに手を突っ込んであかねのスマフォを取り出した。
 神林があかねのスマフォの電話番号を知っている、というのか。
 ……まさか。
 どう考えてもそれはありえなかった。
 『リンク』には山川も町田も神林も入れなかった。大体通話自体、美沙としかしていない。『リンク』がバレてるのならともかく、電話番号の方が知られているなんて……
 しかし何らかの方法で電話番号が知られている以外に、今の状況を説明することが出来なかった。考えても考えて答えはでなかった。もうイヤだ。あかねはそう思った。
 町田は放り投げ、神林にあかねのスマフォを渡した。
「これは、預かるわね。私達はかつあげなんてしないし、そのスマフォだってちゃんと返す。約束する」
 あかねはたずねた。
「結局、河原に行って、何をするの」
「行けば分かるわ」
 神林はそう言うと歩き始めた。
 山川があかねの後ろを歩き、神林が先頭にたった。町田はあかねの横を歩いたり、神林のところに行ってみたり、山川のところに下がったりと、落ち着かなかった。
 四人は、町田が独り言のように各々に話しかけた事以外は、ほとんど口をきかなかった。
 河原の土手の階段を登ると、山川が言った。
「合図するから」
 みくと愛理はうなずいた。
 今度は愛理が、あかねの後ろを歩いて河原へと進んだ。みくが時々山川の方を振り向くと、ミチは手を左右に振ってどっちに進むかを支持しているようだった。
 河原はとにかく雑草が高く茂っていて、獣道のようなものはあったが、迷路のようになっていた。そして湿気のせいか、蒸し暑く感じた。
「どこまで行くの」
 あかねはそろそろ河岸だ、と思って確認した。
「そうね、ここらへんでいいかな」
 みくがそう言って振り返るのと同時に、後ろにいた愛理が近づいて来るのを感じていた。


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