あかねは部員の意見と、決意を決めて、学校へ行った。美沙と一緒に登校したかったが、昨日の町田の発言が真実だったらと思うと学校では極力一緒にいない方がいい。昨日の晩に、美沙には電話して、川西からの呼び出しも、神林達からも、何も無かったことは確認していた。
 だから意見書を持っていく時も、美沙に頼ってはいけない。
 流石に川西に直接突き付けることは出来ない。そのまま多数決を取ろうとしても、混乱するに決まっている。
 だから、まず笹崎翔子先生に相談するのが早道だ、と思っていた。
 幸い、ほとんど口を聞いたこともなかった笹崎先生と、この土曜日に会話もしていた。完全に知らない者同士が意見を述べ合うより、マシな程度だが。
 あかねは部活動が始まる前に、笹崎先生に会いたかった。
 学校につくと、荷物を教室に置くと、急いで職員室に行った。
「失礼します」
 見渡すが、笹崎先生の姿は見えなかった。
「すみません。笹崎先生は来てらっしゃいますか?」
「ああ、笹崎先生なら理科準備室じゃないかな? ここにはちょっと寄るくらいよ」
 あかねは、理科という科目にあまり縁がなかった。準備室が理科室のどちら側だったかをぼんやりと思い出した。
「ありがとうございます。理科準備室に行ってみます」
 あかねは、会釈をして職員室を出ると、もう一度理科室がどこかを考えた。この建物なのか、向かいの別校舎側にあるのか、それすらおぼろだった。
 なんとか理科室を見つけると、理科準備室にどうやって入るかが分からなかった。
 廊下に面している方の引き戸を開けようとしたが、鍵がかかっているのか開かなかった。
「え…… 先生いないのかな?」
 理科室の周囲には特殊教室ばかりで、生徒が通りかかることもなく、あかねは一人でオロオロと歩き回った。
 ようやく、理科室自体の明かりがついていることに気づき、理科室の扉に触ると、すんなりと開いた。
「理科室に簡単に入れていいのかな?」
 そう思いながらもあかねは中に入っていった。
 確かに棚は色々とあったが、薬品がそのまま置かれている訳でもなく、棚にはそれぞれ鍵が掛かっていて、あかねが考えていたように、簡単に物を盗まれたりはしなさそうだった。
 理科室の奥に入ると、準備室側の方に抜ける扉を見つけた。
「はぁ…… こっちか」
 あかねはようやく笹崎先生がいそうな場所を見つけ、進んでいった。
 扉が少し開いていて、あかねは少し押すようにして部屋に入ろうとした。
 その時、足が止まった。
 視線の先には笹崎先生がいた。


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