あかねは、思わず息を飲んだ。
 笹崎先生が下着姿でそこにいたからである。
 部屋には、小さな音で音楽が流れていた。どうやら、机の上においてある、小さなスピーカーから聞こえてくるようだ。
 このせいで気づいていないのだ、とあかねは思った。
 そのままあかねは扉に隠れるようにして笹崎先生を見つめた。
 学校の近くの公園で、笹崎先生の肌を見た時から、この姿を見たかったのかもしれない。
 あの時も思ったけれど、こうして背中やふともものあたりの肌の様子を見ると、本当に透き通るような肌というのがこのことを指しているのだ、と思った。
 白人のような血管が見えるような肌ではない。
 白人ではないからと言っても、黄色い、という表現は当てはまらない。
 あかねが声もかけずに、扉に隠れて笹崎先生を見ているのは、肌の美しさのせいだけはなかった。
 細い足首から膝裏への滑らかな曲線、そして膝から太ももへかけての充実した肉付き。張りのあるヒップライン。
 下から目で追うだけでも、羨ましさを通り越して、ため息が出てしまうようなスタイルだった。
 下着は、見るからに上質な素材で出来たもので、白かった。
 黒や赤の下着のように、あからさまなセクシーを主張しないにもかかわらず、あかねはそこにエロティックなものを感じていた。
 そして腰のくびれから肩甲骨、肩へのうねりを見て、あかねは興奮した。
 やはり上品な下着に包まれた胸の膨らみが、後ろから見ているハンデを乗り越えて、豊かでやわらかな丘を形成している。
 このまま後ろから忍び寄り、両手で胸を触ってみたい。
 そう妄想して、一歩踏みだそうとしたが、思いとどまった。
 どうやら先生は着替えの途中らしい。
 笹崎先生は、机に置いてあったレギンスを取り出して履くと、その上からショートパンツを重ねた。
 上着もランニングウェアのようなピッタリした素材のものを着て、最後に大きめの実験用白衣を羽織った。
 あかねは、そこでようやく扉から少し準備室に踏み出した。
「あの…… 笹崎先生……」
 あかねは、小さい声でそう言った。
 覗いていた、という罪悪感が、大きな声で先生の名前を呼ぶのをためらわせた。
 しかし、この声では気づいてもらえない。
 あかねはもう一度、勇気を出して言った。
「笹崎先生……」
「あ、岩波さん。こんなところまで来て、どうしたの?」
 振り返った笹崎先生の、唇にみとれてしまい、あかねは用件を言い出すことが出来なかった。
「岩波さん?」
「……す、すみません。えっと」
「この前の、投票? の件、よね?」
 あかねは鞄からまとめた文章を取り出した。


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