『それにしても、あの男子(こ)達をコントロールをしているのは誰だろう』
「今はそんなことどうでもいいわ」
 真琴は保健室の前に来たが、入るべきか悩んだ。このままだと、四人との争いに保健室の先生を巻き込んでしまう。かといって、廊下を走り回っているだけでも、同じことだ。いずれ教師に知られてしまう。
 今までと同じように、チャイムがなるまでの辛抱だ、と真琴は思った。であれば、一か八か……
「すみません。新野です。頭痛がひどくて」
 保健室の先生は座ったまま振り返ると、
「あら、久しぶり。どうぞ、ベッドを使ってくださいな」
「先生、もし用事があるなら見ておきますから、保健室を離れてもいいですよ」
 真琴は、仕切りの中に入り、隠れる場所を探しながら、先生が男子生徒に合わない内にどこかへ行って欲しい、と願った。
「う〜ん。特に用事ないのよね」
 真琴は、考えを変えて、先生に言った。
「分かりました」
「え?」
 真琴は保健室の外のフダを返し、不在とすると中から鍵をかけた。
「ちょっと、何してるの?」
 真琴は保健室の先生の口に手を当て、仕切りの中に連れ込んだ。
「(何?何なの?)」
 先生は状況を察したのか、小声でたずねた。
「(あとで説明します)」
 真琴は仕切りを少し開いて外の様子を見た。
 右側の扉に人影が映ると、そこで二人が立ち止まり、もう二人は先の扉へと廊下を歩いた。
「(誰?)」
「(シッ)」
 真琴は口に指を立てて、先生にお願いした。
 もう二人の影は、さっきフダを返した方の扉に立ち止まった。
 男子生徒が、フダのある方の扉を開けようと引っ張った。ガタッと音はするものの、扉と扉を繋いだ鍵を壊すまでには至らなかった。
「にいのぉい……いるぅのぉかぁあ」
 人では無いような、声ではないような、変なことばだった。
「あぁけぇえろ! あけ!」
 ガタガタ、と扉を強引に引っ張る音がした。
 すると、反対側の扉側も同じように無理に開けようとする音が始まった。
 真琴の背中に温もりが感じられた。
 怖くなった先生がくっついてきていたのだった。
「あ゛げろ゛ あ゛げ!」
 最初に扉を揺すり始めた生徒が、扉を蹴り始めた。激しくガラスが振動する音が聞こえた。
「ぶっ!」
 叫んだかと思うと、同時にガラスの割れる音がした。そして、扉が外れて、更にガラスや扉が床にぶつかる音が響いた。
「んにぃいの…… どこだあ」
 真琴はじっと動かなかった。
 これだけの大きな音を出せば、どこからか先生か、警備の人が駆けつけるはずだ。だから待っていればかならず助かる、真琴はそう信じていた。




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