「じゃあ何故指が勝手にお前の下半身を触りに行くんだ!」
 真琴は怒りと恥ずかしさでカッとなった。
 このクソ男は、ヤリたい一心でそういうウソをついているのだ、と思った。
 真琴は必死に足を閉じようとしたが、足首を台に止められてしまっていて、膝と膝にかなり隙間が出来てしまう。
「お前のせいだ、お前のせいなんだからな」
 君島は真琴のジッパーを下ろした。
 そして、この馬鹿げた狂言を続ける必要がないと思ったのか、両手でジーンズを広げた。
「ただ縛って女を襲いたかっただけね、それだけなのね」
「お、俺も」
 鍵を見に行っていた男も真琴に近づいてきた。
 君島は腕で追い払うように、近づいてきた男をどかした。
「邪魔するな」
「じゃ、じゃあ、俺は上を」
 もしかして。
 真琴はこの施設に来たのが自分だけではないことを思い出した。
 薫! 薫も同じ目に遭ってるの?
 どうしよう。どうしよう。
 自分がこんなことをされるのは嫌だ。
 けれど、薫がひどい目にあうのはもっと嫌だ。
 ヒカリ、ヒカリ助けてよ!
「久々に興奮するよ」
 君島はそう言って、真琴の下着を撫で回した。
 もう一人の男は、震えながら真琴の上着のボタンを外していた。少し開いた上着のすきまから、手を差し込み、真琴の胸を触った。
「お、おお…… チューしようチュー」
 気持ちわるい。
 顔を近づけないで。
 その時、扉を開けて男が入ってきた。
 さっき錠を見に行った二人の内の一人だった。
「……どうした。お前は見張ってろ」
 君島が言った。
 男はしばらく固まったようだったが、言葉ではないような声を出した。
「ぃぁねえぉ」
「良いから戻れ」
「しぃあねえお」
 男は君島に向かってよろよろと歩きだした。
 この感じ。誰かにコントロールされている。真琴はついこの前学校で起こった事を思い出した。
 真琴の胸を触っていた手を止め、男が言った。
「こいつ、エントーシアンに操られているんですよ」
「!」
 君島は何か思い出したように表情を変えた。
「マズい。佐藤、撤退するぞ」
「慌てなくても、確か、特定の音声で解除出来たはずじゃ」
「意味がわからないのか? じゃ、お前はここに残って俺の逃げる時間を稼げ」
 そう言って、入ってきたのと反対側にあるドアの鍵を開け、君島は逃げ去った。
「どういう意味だ…… そう確かベルのような音」
 佐藤と呼ばれた男はスマフォから音を出してみるが、まったくコントロールが解けた様子はない。
「あぁヴぁぁあ」
 何者かのコントロールを受けた男は、佐藤の両肩を掴み、頭突きをかました。



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