「ああ、あっあ〜〜ぁあぉあ」
 今度は佐藤の方が人とは思えないような声を上げて、その場に倒れてしまった。
 コントロールされた男が、真琴のそばによろよろと近寄ってきた。
 そのどこを見ているかわからないような視線が、真琴のジーンズの、開いたジッパーのあたりを見ている気がした。
 結局、同じなのか……
 真琴は一瞬助かったと思った自分の甘さに呆れた。
「ぉおぼお」
 男は台にバチン、と手をつくと、脇にあるスイッチを切り替えた。
 モーター音と共に、両手、両足を拘束していた輪が上昇して抜けるようになった。
「うぁぁ……」
 男は頭を抱えて倒れ込んだ。
「ああ、頭が、頭が痛い」
 台のスイッチを切ったことで、コントロールが解けたようだった。
 真琴はその隙に手足を抜き、台から降りた。
 佐藤はまだ小さく声をだしながら床にうずくまっていた。
「薫!」
 真琴はそのまま扉を飛び出し、廊下を入ってきた方向へ走り出した。
 薫、助けるから。絶対に薫をこんな目に会わせない。走ってもあちこちの筋肉がいたくて、いつもより一層走りが遅くなっていた。
 真琴はそれでも走るのをやめなかった。
「ちくしょう」
 悔しい。
 体が思うように動かない。
「あ、お前、いつのまに逃げ出した」
 入り口を見張っていたもう一人が気づいて、廊下に入って真琴に近づいてきた。
 真琴は男にそっと寄りかかるように近づき、後頭部に手を当てて集中した。この男をコントロールして味方につけようと考えたのだ。
 首に抱きつくようにしてしばらくすると、男が言った。
「っおしましょお」
「薫を助ける」
「ぁい」
 コントロールされた男は真琴の後ろを、ゆらゆらとついてきた。
 最初に薫が入れられた扉の前に立つと、真琴は男に開けるよう指図した。
「ぁぁぃぃ……」
 男が持っていた鍵束からカードを手にして、そのまま扉の横にある小さなLED光のあたりにかざした。
 カチン、と金属が跳ねるような音がして鍵があいた。男はドアノブを回すのに手間取っていた。真琴が後ろから手を伸ばしてノブを回すと、勢い良く扉が開いた。そして、男は突然開いた扉に、転びそうな勢いで突っ込んでしまった。
 真琴は男の様子を確認してから、遅れて部屋に入った。
 男はうーうー言いながら、壁に手をついて奥へと歩いていってしまった。
 真琴は薄暗い部屋に明かりをつけようと壁のちいさな光のあたりを触ってスイッチを探し、明かりをつけた。
「メラニー」
 正面に、手を縛られたまま椅子に座っているメラニーを見つけ、真琴はメラニーの手を縛っている布を解いた。
「メラニー、メラニー」
 目は開いてないが、息はしている。



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