「メラニー大丈夫?」
「あ、真琴……」
「大丈夫?」 
「私は大丈夫」
 え? 薫がいない。
 真琴はメラニーと一緒にいると思っていた薫のことが気になった。
「薫は? 薫はどこ?」
「隣の部屋、だとおもう」
 壁沿いに歩いていた男が、その隣の部屋への扉の前にたどり着いた。
「スーツの男、二人いたはずだけど、二人共向こうの部屋?」
 メラニーはうなずいた。
「うぅ」
 真琴は男に扉を開けるように合図した。
 真琴も男の反対側から扉に近づいた。
「ぅぅぅぅ……」
 鍵はかかっていないようだ。
 男はやはりドアノブを上手く回せない。
 真琴が代わりにまわして扉を押す。
「もう、やめて!」
 薫の声だった。
 真琴は男を立てにするように背中側に周り、男の背中を押しながら部屋に入った。
「いやぁ!」
 薫はさっき真琴が縛り付けられていたのと同じ、MRIのような機械の台の上だった。
 真琴の時よりずっと頭が円筒のところへ押し込まれている。
「誰だ!」
 一人が覗き込むように上体を横に倒して言った。
「? なんだ、加藤か。なんでこの部屋に……」
 加藤と聞いて、最初に誰何した男が近づいてきた。
「ちょっとまて、加藤、後にいるのは新野真琴じゃないのか?」
 真琴は何も考えずに部屋に飛び込んでしまったことを後悔した。
「そうよ。体はね」
「なんだと?」
「ボクはヒカリだ」
 真琴は手を軽く握って、肘を引き付け戦う姿勢をみせた。
 しかし、全く頭痛はない。
 完全にハッタリだった。
「へっ! 馬鹿だな、君は」
「……」
「北御堂の娘を助けるには俺たちの協力が必要なんだぜ? このまま北御堂を殺ってもいいのか?」
 真琴はこの機械で人を殺せるのかが分からなかった。エントーシアンを殺せるのなら、本当の薫を殺すこともできるのだろうか。心が死んだら、肉体だけの薫はどうなってしまうのだろう……
 ゾクっと体が震えた。
 すると、薫が叫んだ。
「いやぁ! やめて! もうやめて!」
「何をしているの、やめなさい!」
「だから北御堂の命が惜しかったら……何の真似だ、加藤」
「ゥウヴァ……」
 真琴がコントロールしていた加藤が、機械のオペレーションをしている男を羽交い締めにした。
「おい、加藤のコントロールを解け」
「この機械で薫が殺せるとは思えない」
「馬鹿だな。エントーシアンと人の意識に違いはないんだ。そこのパラメータを変えれば、即死さ」
 真琴は迷った。
 薫は苦痛に目を閉じて、小さい声で言った。



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