『!』
 何故ドアの先の光景がバレているんだ。
 真琴は歯を食いしばった。
『それじゃあ、最後の手段だ』
 真琴は後ろに何か巨大な存在を感じた。
 柱のように不動で、爆弾のように暴力的な存在。恐竜のような牙のある恐ろしい口、鋼のような肌、踏み潰すことも、蹴り飛ばすことも自在のしなやかで太い足。
 怪獣。
 それ以外に表現のしようがない生き物。
 敵うわけない。
 戦いようもない。
 ボクもこのまま消えてしまうしかないのか。
 本当に殺せる、のだろうか。
 真琴はバイクヒーローか、とうがたった魔法少女しかなかった。そのどちらかを選ばねばならなかった。
『聖なるバトンよ!』
 言った後、どこが光り出したのか、気づくのに時間がかかった。どうやら頭頂部だった。右手を頭頂部から内部へと手を伸ばすが、バトンがつかめなかった。
『行くぞ』
 怪獣は足を上げ、真琴を踏み潰そうとした。
 左手も頭に突っ込んで、ようやくバトンの先を捕まえることが出来た。
『マジックダイバー・エントリー!』
 ドシン、と低く重い音が響いた。
 その足先をぐっとひねった。
 一瞬、すべての音が消え去った。
 怪獣はゆっくりとその足を上げ、その足を後ろに引くと、踏みつけた足あとを見つめた。
 何もない。
 土の中に潜ったのだろうか。
 しかしそこには地面が削られたような跡はなかった。
『こっちよ!』
 怪獣が声のする方を仰ぎ見ると、回転するノコギリのような光輪がいくつも降り注いできた。
 いくつかをかわしたが、かわしきれなかったものがしっぽを切り裂き、腕を切り落とした。足先も削り落とし、左右のバランスがくずれて、危うく倒れそうになった。
『あの土壇場で逃れたというのか……』
 怪獣は真琴に、そう伝えた。
『しかし、無駄だ』
 切れたところから吹き出していた体液が、あっという間にしっぽに、腕に、そして足と爪に再生してしまった。
『いいか。こちらは君が絶望するまで続けるぞ』
 真琴はこの再生スピードなら、もう一度光輪を放てば勝てると思った。
『絶対裁断光輪!』
 再び多数の回転ノコギリ刃が怪獣の上空から降り注いだ。
 怪獣はそれらをかわすことも出来ず、メチャメチャな形に分断されてしまった。
 しかし噴き出している体液が互いのパーツをつなぎ始めると、再びその肉塊が怪獣の姿へと再生してしまった。
『もう一度!』
 とうがたった魔法少女は、再びバトンを振り下ろした。
 輝く光輪が無数に生み出され、回転しながら怪獣の体を切り裂いていった。体液が再び組み上げようとすると、もう一度バトンを引いて、頭上で回転させると、素早く振り下ろした。
『無限裁断光輪!』



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