様々な色の光りの輪が回転しながら、怪獣なのか再生途中なのか、不定形の物体に次々と突き刺さり、切り裂き、分断していった。
 しかし、真琴が大きく息を吸い込むと、その無限に降り注ぐかと思われた光輪が止まってしまった。
『フッ……フフフフ……』
 もうただの体液だけかと思われたそのクズの山が語りかけてきた。
『ほら、再生するぞ。再生してしまうぞ』
 真琴はバトンを引き上げ、頭の上でクルクルと回転させながら、次の手を考えていた。このままではいくらやってもキリがない。別の方法で戦わないと……
『無限裁断光輪!』
 何かコアになるものを破壊するか、全く別の方法で破壊しない限り、このまま繰り返しになる気がしていた。
 真琴は覚えている限りの漫画やアニメのシーンを思い出していた。
 適切かどうかは分からない。
 けれどやるしかない。
 真琴は次の攻撃方法を決断した。手首を返してバトンを振り切り、無限裁断光輪を中断すると、体全体をまるくして一回転し、バトンをもつ右腕を下方に向けながら体を伸ばした。
『アシッドレイン!』
 バトンの先端が輝くと、紫色の雲が湧き上がり『怪獣のぶつ切り』の上空を覆った。
 ほどなく激しい雨粒がそのぶつ切りに降り注いだ。
 雨で濡れているはずなのにしゅうしゅうと煙が舞い上がり、ところどころで炎が立ち上がった。
 これなら永続的に肉塊と体液にダメージを与え続けられる。真琴は勝ちを確信した。
 しかし、一向に山の高さは減っていかない。
 確信してた勝利が、次第にもやのなかに隠れていくように、不安が広がってきた。
 何かイヤな予感がする。
 煙が上がり、炎に包まれながら、少しづつだが怪獣の体が再生しているように見える。
 まさか、と思った時には、あっという間に再生スピードが増していた。
 みるみるうちに燃える肌の怪獣再生が完了し、紫の雲の上の顔をあげていた。
『どうして……』
 怪獣が語りかけてきた。
『馬鹿は死ぬまで馬鹿のままだ』
 怪獣は口を開くと、青白く、小刻みにウェーブした炎のようなガスを発射した。
 真琴は背中の羽根を駆使してそれを避けた。
 怪獣は呼吸のタイミングなどを無視するかのように延々とそのガスを吐き続け、真琴は必死に避け、時にバトンでフィールドを作り、そしてバトンの作り出す竜巻でガスをねじ曲げた。
 真琴は勝ち筋を見失っていた。
 夢の中では世界の創造者のはずだった。
 負けるわけがない、それがいままでの戦いだったはずだ。真琴はこの戦いのからくりを見抜かねば負けは必至であることを意識した。
『ヒカリを渡せ』
 怪獣はガスの発射を止めた。
『そうすれば助かる』
 ここに来て、真琴はある結論に達した。
 しかし、恐怖がじゃまをし、踏み切れなかった。失敗すればボクは消えてしまう。真琴はバトンを強く握りこんだ。
『ヒカリは渡さない』
 怪獣は表情を変えない。
『では君が死ぬだけだ』
 紫の雲を蹴散らしながら、ドラゴンとも恐竜ともいうような風体の怪獣が、勢いを増しながら上昇してきた。
 真琴はバトンを怪獣に向けて、怪獣へ頭から飛び込むように両腕を伸ばした。
『聖なるバトンよ……』
 真琴は続けてキーワードを口にした。



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