「だって真琴、ずっと動かなかったんだよ。何も言わなくなって、あいつらが言っていたように、死んじゃったかと思ったんだから」
 そう薫が言う、小さい声が聞こえた。
「ここはどこ?」
「車の後部座席よ。メラニーも無事」
「あの場所は分かる?」
 薫は少し体を離した。
「あいつらのいる場所? のこと?」
 真琴はうなずいた。
「スマフォは取り上げられていたし、この車のナビの履歴も……」
 メラニーが手を広げて首を振った。
「無くなっていたみたい」
「そう……」
 乗り込んでいって、やり返してやりたくても、場所も何も分からないというのか。
「……」
 薫の表情が曇ったような気がした。
「どうしたの?」
「なんでもない」
 そう言って薫は再び体を合わせてきた。
「食事はどうされますか?」
 メラニーが言った。
「どうしてこういうタイミングで言うのかな」
 体を起こしながら、薫が言った。
「すみません、空気を読めなくて」
 真琴も体を起こして言った。
「ファミレスに行きましょう?」
「薫様、よろしいでしょうか」
「ええ、あそこが良いわ、国産和牛フェアをやっているところ」
「承知しました」
 車は国道へ向かって走り出した。
 目的のファミレスに着くと、時間も遅いせいかすぐに席に案内された。
 食事を取りながら、三人はそれぞれに少し気分が冴えないようだった。
 ファミレスの角の窓際で、コの時に椅子がつながっている場所だった。真琴が端に座り、薫が真ん中、メラニーが真琴の向かいに座っていた。
 メラニーはピザを頬張りながら、浮かない顔をしていた。
「メラニーは何を気にしているの?」
 真琴がたずねると、メラニーはピザを皿においた。
「薫様と真琴様を守れませんでした……」
「そんなこと気にしなくていいよ。人数が違うんだし」
「車に乗っていたんです。その状態から気づけば、逃げるとか、方法はあったはずです」
 薫はナプキンで口を拭いてから、メラニーに言った。
「あれはしかたないわ。あの状況では誰も気付かないでしょう」
「そう言っていただけると、少し救われた気持ちになります」
「……真琴も、何か気にしてない?」
 真琴はステーキを切る手を止めた。
「うん。気になることはあるよ」
「どんなこと?」
 真琴は肉片をフォークで突き刺して、目の前に持ち上げてから、言った。
「ボクは最初は別の部屋で例の機械にかけられていたんだよ。それを、加藤という男が『誰かのコントロールを受けて』ボクを助けに来たんだ。しかし、そのコントロールをした人間がいない」




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