言い終わると、そのまま切った肉を口に入れた。
「……」
「!」
 メラニーは何か思いついたようだった。
「ぉしたぉぉぇらにぃ」
「真琴、汚いから食べながら話さないでね。で何か気づいたの、メラニー?」
「いえ、けれど、彼らの中にも既にエントーシアンを入れている人間がいる、ということでした」
 真琴は飲み込んでから、一息ついて言った。
「じゃ、彼らの仲間割れ? なんか腑に落ちない」
「そうですね」
 薫は少し後ろに寄りかかりながら、アイスティーを飲んで、そして前かがみになってテーブルにグラスを置いた。
「仲間割れ、というのはあながち無い話じゃないのよ」
 真琴は薫の顔を見た。さっきの少し暗い表情が戻っていた。
「真琴には言っていないけど、奴らはラボのメンバーなの」
「えっ!」
「最近は、ラボに姿を見せていなかったんだけどね。ラボを離れて、今回の機会を狙っていたんだと思う」
 薫は目の前のサラダを、右と左に分けながら話を続けた。
「今日の反逆を企てたメンバー以外のラボの研究員が、助けに来たのかもしれない」
「……でも」
「確かに完全には助けることは出来なかったけれど、それは何か理由があったのかも」
「ぁぉるのあおがうかなぃのはそぇ?」
「だから飲み込んでから話して!」
 そう言うと薫はうつむいて額に手をやった。
「そうよ。ラボは全員私達の味方だと思っていた。まさか金儲けに走る連中がいるとは思ってもいなかった」
「……あのさ。ラボって女性もいる?」
「いるわ。そんなに数はいないけど。どうして?」
「ボクらと同(どう)……」
 真琴は言いかけてやめた。ボクは薫を疑ってしまっている。今思ったことを、すべて言ってしまったら、薫に嫌われてしまう。
「どうしたの?」
「……なんでもない」
「言って」
「ごめん。もう少し考えてみる……」
 真琴は言ってから大きく切ったステーキを頬張った。
 ラボには女性はいる。同世代がいるかどうかはわからない。だから、【鍵穴】がいる可能性はゼロではない。今はそれだけでいい。
 真琴はラボの人々がどれだけ優秀でも、このエントーシアンの起源を解明できないのではないか、と思っていた。
 ある特定の世代の、特定地域でしか出会えていない。男にエントーシアンがついたこともない。それを研究しているから、という理由で研究所員がエントーシアンを植え付けられ、その力で人をコントロールしたりできるのだろうか。
 真琴はずっと考えた。
 世界中のテロや組織犯罪がエントーシアンに操られた人の仕業だとして、そこにいる【鍵穴】やエントーシアンを宿した人間は、ボクたちと同じ年代で、特定の地域の人間に限定されているのだろうか?
 何か条件があるはず。
 真琴はそこからどう考えていいか分からなくなった。
「お客様、ライスのおかわりはどうなさいますか?」



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