あかねは香坂に付き合って、一緒にストレッチを始めた。押したり、引っ張ったりして、肌が触れ、密着したりする度、少しエッチな気分になってしまう。なんでこんな時までいやらしい事を考えているのか、そう思うと、あかねは落ち込んだ。
「練習始めます」
 橋本部長の一声で練習が再開され、全員が入れ替わったように気持ちよく部活が進んでいった。
 山川や町田、神林の表情でさえ明るくなっていた。あかねの方を見るときは、さすがに笑顔ではなかったがムッとさせるような印象はなかった。本当に笹崎先生のせいで厳しく、辛い顔になっていたかのようだ。
 部活が終わり、ボールを集め、あかね達が床をモップで拭いていると、部長は笹崎先生のところへ練習終了の報告へ行った。
 体育館の片付けが終わった頃、部長が戻ってきた。
「このまま上がっていいよ。中に残っている部員にも伝えて」
 そう言って部長はまた校舎の方へ戻っていった。
 あかねは部長の姿を目で追っていたが、突然後ろからつつかれた。
「さ、練習は終わったわ。あかね、あんた着替えたら学校出たところの小さい公園に来て」
「私だけ?」
「なわけないでしょ。当然、上条も香坂も」
「私が伝えればいいの?」
「ふん。じゃ、そうしてくれる?」
 何なんだ、この女は。
 何にも考えてなかったのか、とあかねは思った。向こうが少なくとも三人、こっちも三人で計六人だ。六人もいれば、あの小さい公園に呼び出して、リンチという訳にはいくまい。
 いよいよ何をされるのか、何が始まるのかわからなくなった。
 麻子に声をかけて、公園に集まる話しをしたら腕にしがみついてきた。そのままの格好であかねは香坂を探し、同じように告げると、香坂が言った。
「それって、あの小さい公園ですよね。何をするつもりなんでしょう?」
「分からない」
 十数メートル先の神林らの方をチラッと見やった。
「やだ! 睨み返してきた」
 麻子が掴んでいたあかねの腕をさらに強く体に引き寄せた。それを見た香坂が少し冷たい目で麻子の方を見たのに、あかねは気付いてしまった。
「先輩、私も怖いです」
 香坂もあかねの腕にしがみついてきた。
 麻子の時には感じられなかった、腕が触れた胸の感触や、直接触れる肌のきめの細さや、自ずと近づいてくる髪から香ってくるシャンプーの匂いなどで、めまいがしそうだ。
「大丈夫、私がついてる」
 あかねは香坂に向かって言った。
 すると反対側にいた麻子が言った。
「あかね、怖い」
「麻子……」
 面倒くさい、と言いかけてやめた。実際はそう思っていても、言葉にしてしまうのは悪い気がした。
 神林達が先に部室に入り、しばらくするとあかね達も部室へ入った。自然と腕は外れていた。
 神林はさっさと着替えて、あかねの後ろに立った。逃げ出さないか見張っているのだろうか。町田と山川は着替え終わると、バッグを持って部室の外へ出ていった。
「町田さんと山川さん、出てっちゃったけど?」
「あんたも早く着替えて出なさいよ」
「町田さんと山川さんは?」
「外で待ってるだけ」
 あかねはチラッと部室の扉を見た。
 なんだそういうことか。
 あかねは着替え終わると、バッグの中身を整えて、ゆっくりと背負った。



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