住宅地は駅周辺にあるのだが、商業地が国道沿いなため、駅の利用は通勤通学だけで、乗り継ぎや、買い物にやってくるような人は少ない。知り合いでも住んでいなければ、駅を利用することはないだろう。
「あかね、何でここに来たの?」
 そのものズバリを言ったら引かれるに違いない。だって『尾行してた』らここで降りた、からなのだ。あかねは適当にごまかすことにした。
「忘れちゃった」
「その時はこの駅で何したの?」
「来た、って記憶しかないんだよね。何か、どこかの駅とごっちゃになってるのかも」
 神林達は会話もなく、それぞれが目の前のドリンクを見つめたり、スマフォをいじったりしていた。
 以前、ここに来た時の目的と、今の目的は実は大して違わないような気がしていた。
 未知のものを確かめるため……
 単なる好奇心を満たすために、ここまで来てしまった。自分が正しかったのか、間違えだったのかはまだ分からない。
 真実が知りたい。
 ふと、美沙の顔が浮かんだ。
 いや、そうじゃない。
「さ! 連絡きたから行くよ」
 神林が突然立ち上がった。
 そう言った後も、ずっとスマフォの内容を確認している。
「早く。片付けて。さっさと出て」
「しっしっ」
 山川と町田はよく分からない感じであかね達を追い立てた。
 あかねが香坂と麻子の飲み物もトレイに乗せて運び、飲み残しや紙コップを処分した。麻子は山川に追い立てられながら、あかねの方をチラチラを振り返った。
 あかねは置いていかれたかと思っていると、後ろから神林が背中をつついてきた。
「ほら、行くよ」
 もしかしたらこのまま誰ともかかわらずにこっそりと家に帰ることも出来たかもしれない、とお思った。しかし、、それではスマフォを失うだけで何も解決しない。
「スマフォはいつ返してくれるの?」
「これから行くところにある」
「そうじゃなくて、返してくれるの?」
 あかねは食い下がると、神林はあかねの脇腹を突いた。
「痛っ……」
「スマフォは後だ」
 あかねは神林のボスがいるところへ行くのだ、と考えた。ここで答えを言わないようにしているだけではない。神林が白と言ったものを、黒という人物が現れるから、ここでは白とも黒とも言えないのだ。
「これから、どんな人に会うの?」
「……」
 神林は唇を噛みしめるように強く閉じた。
 何も言わないぞ、という意思をみせつけた。
「前の二人に追いつくぞ」
 神林に背中を押された。
 あかねは前の二人に追いつくように急ぎ足で歩いた。
 駅を超え、また例のコンビニの前を通った。
 今度は立ち止まらず、角を曲がった。
 そのまま進むと、マンションの入り口と駐車場が見えきた。神林の行動を見張っていた時の、あの場所だった。
 六人はそのままマンションの入り口に入った。
 神林がパネルに何か数字のボタンを押して呼び出している。しかし、内側のオートドアが開かない。神林は、あかねの方を振り返って言った。



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