真琴はスマフォを受け取ると二人と反対を向いた。
『薫ちゃんから聞いたよ。とりあえず何の選手かわからないけど、がんばってね。真琴が何か夢中になっているんだったら、応援する。けど、泊まりとかになる時とか、今日みたいなときは先に相談してね』
「う、うん」
 真琴は、母が急にやさしい口調になっていて、ちょっと拍子抜けした。実際は体育祭の話ではないことを思うと、母に申し訳ないような気になった。
「じゃあね。終わったらまた電話する」
『うん、気をつけてね』
 真琴はスマフォを切った。
「じゃ、まずはドラッグストア行こうか」
 涼子はそう言って、マスターに声をかけて、店を出る準備をした。
 三人はそのまま店を出て、中居寺のドラッグストアを目指して歩いた。
 真琴は店員に話を聞きながら、結局、一番無難な鎮痛薬を選んだ。薬の値段もあるのだが、最初から効き目の強いものが必要か分からなかったからだ。
 真琴は薬を買い終わって、涼子が何か探している間、フラフラと薬やコスメを眺めていた。棚から棚へ目線を動かした時、田畑のような女性がいるのが見えた。
 まるでホログラムが映し出されたように、目の前の風景にヒカリが映った。
『真琴! 今の、田畑まさみじゃない?』
『似てたけど、違うひとじゃない』
『追いかけるよ』
 勝手に体のコントロールを取られてしまった。
 さっき見かけた棚の方へ移動すると、そこには誰もいなかった。急ぎ足でその棚を抜けながら、真琴は棚の薬を見ながら、何を探していたのだろうと思った。
「真琴、買い終わったよ」
 店の入り口の方から涼子の声がした。
 真琴は注意しながら急ぎ足で涼子のところへむかった。
「田畑まさみが居たみたい。出ていってない?」
「見なかったなぁ」
「あれ、薫は?」
「えっ、さっきまでいたんだけどな……」
 涼子は紙くずでも探すように床を見回した。
「涼子はここで田畑さんが出ていくか見ててくれない? 出ていったなら教えて」
「うん。わかった」
 真琴は店内に戻った。
 棚が大きく一度のその中に入ると、右も左も見れない為、棚が伸びる方向へ直角の方向を歩いたが、棚の端には、特価品や、気になる商品が置いてあって、なかなか素早く移動できなかった。
 端までみて回ったが、田畑まさみどころか、薫すら見つからなかった。
「どうしよう……」
 真琴はスマフォを取り出して『リンク』で涼子にそこから田畑が出ていっていないかを確認した。『とりあえず見てないよ』涼子の答えだった。『薫は?』といれると、『薫もいない』と返された。
 真琴はレジに並ぶ列を見渡した。
 やはり田畑はいない。薫も同じ。
 棚から棚をみて回っていると、突然出てきた白手袋をはめた手に、腕を掴まれた。
「ちょっと君」
「!」
 相手は警備員だった。
 びっくりして相手の顔を見ていると、真琴を通り越して、別のところを見ていた。
 真琴も振り返ってそちらをみると、店のエプロンをした店員が、激しいジェスチャーで出入口方向を指さしていた。
「失礼しました」



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