「何すんだ」
「やめろ」
 一番後に入ってきた男が、叩かれた男の腕をねじりあげた。
「笹崎先生! 助けてください」
「……違うよ」
「先生が、先生がグルだったの?」
 男たちが道を開けた。
 笹崎先生がその間を入って丸い床の端に立った。
「さっきの映像、とるとしたら私しかいないじゃない。私も脅されているとか思ってた? それとも誰とも無関係な、ただの女の子好きなバスケ部顧問だと思った?」
 笹崎先生は目をつぶって、うつむいた。
 そこには涙がこぼれているように見えた。
「それもこれも、遠山さんの為なの…… お願い」
 笹崎先生はそう言った。
「んじゃ、始めていいのかな」
 香坂があかねの手をつついてきた。
 その時、ドアのチャイムが鳴った。
 笹崎先生が、玄関のモニターを見ながら、何か話している。
「ちょっと、あんた達、まって。なんか変だわ」
 笹崎先生が玄関先の方へと出ていった。
 あかねは、麻子の手を口で突いた。
「なんだよ、やりてぇよ。やれるって聞いてたんだ。やるきまんまんなんだぞ」
「俺はこのちっぱいがいいなぁ、ロリロリだぜ」
 一人が香坂の方へ寄ってきた。
 あかねは体をころがして、香坂を隠すようにした。
「何! なんでお前が!」
 何か、玄関先で声がする。扉が何度か叩かれたような、大きな金属音が響いてきた。
「何があったんだい先生」
 仲間の腕をひねった男が玄関先の方へ向かったかと思うと、そのまま後ずさりしてきた。
「ほらっ、早く入れ」
「下がって、この男の言うことを聞いて」
 笹崎先生の焦ったような声が聞こえる。
 あかねがじっと見ていると、玄関の方から、首にナイフをつきつけられた笹崎先生がゆっくりと進んできた。ナイフを持って後ろにいるのは、宅配便の配送員のような格好をした男だった。後ろに、もう一人女の人が見える……
「遠山先輩!」
「え? 遠山先輩?」
「先輩!」
「うそでしょ」
 神林達の声が何か変だった。
 あかねは、全員の視線がそっちに向かっているうちに足のタオルを解いた。
「うそじゃないぞ。これが本当の遠山先輩だ。元気なもんさ」
 あかねはその声で、宅配業者の格好をした男が、川西先生だと分かった。
「うそよ!」
 町田が目を見開いて叫んだ。
「遠山、ほら、言ってみろ」
「ご、ごめんなさい」
 町田や山川は本当に信じていたのだろうか。
 神林も呆然と膝をついて見つめている。
「そうじゃない。遠山。本当のことを言うんだ」



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