「ちゃんと見せてよ」
 こっちはカードの裏を見ているのだろうか?
 真琴はゆっくりとカードを返した。
「?」
 どちらも表に見える。
 なんだろう……
「私も『サトカ』あるから」
 涼子はスマフォを取り出した。
「あれ、そのスマフォはICカード乗車券機能はないんじゃない?」
「ないから、カードを持ってるのよ」
 涼子はスマフォのケースから『サトカ』を取り出した。
「本当だ、ちゃんと印刷されてる」
「つーか全面的に絵が違うよね」
 真琴はぐるぐるとカードを裏返したり戻したりしていたが、見ても何も分からないので、イライラしてきた。
「いいや、当ててみればわかるじゃん」
「え?」
 ピッと音がして、該当番号を示した。
「お金貸して……」
「そのカードで支払えないの?」
「そっか」
 真琴は画面で『サトカ』払いを選択して、再度カードをタッチした。表示されている番号の扉がガシャリと音を立てた。
「ここだよね…… あ、あったよ、さっき持っていたバッグだよね」
「うん。ありがと。良かった……」
「さっき買った、頭痛薬飲んどきなよ」
 涼子の言葉にしたがって、頭痛薬を取り出した。ペットボトルのジュースが残っていたから、薬をそれで流し込んだ。
「初めて買うやつだからな、効くか心配」
「それにしても薫来ないね」
「ここで待ってる約束なの?」
 涼子はキョロキョロしている。
「そんな約束してないけど」
「じゃ、会える訳ないじゃん」
「だってここんな目立つ格好してるんだよ?」
 涼子は真琴を指さした。
 そう言われればそうかもしれない。
 バトン自体結構なキラキラだし、このバトンの宝石部分と柄の部分は全く繋がっていない。どういう力で両端の宝石が柄についたような状態になっているのだろう。
 じっと見つめれば見つめるほど不思議だった。
「いや、バトンだけじゃなくて。薫ってすごい髪長いから、目立つと思うんだよね」
 確かに頭をすこし揺する度にぐらっと重心が移動するのが分かる。ディパックを背負おうとして、この長い髪が邪魔になるのが分かった。どおりで、薫が手提げカバンを変えないわけだ。
「けど、ずっとドラッグストアで待ってるのかも」
「あの騒ぎになったら真琴がドラッグストアに帰れないのは分かるでしょ。薫は頭良いんだから、ここら辺に流れてきてもおかしくないのよ」
 涼子はあたりをキョロキョロと見渡している。
 何人かの女の子が、モデルの涼子であることに気付いたようで、少しずつ立ち止まってこっちをみる人が増えてきた。
「涼子、そろそろ動こうか」
「そうね」