真琴の姿の涼子が、薫の姿の真琴の腰に手をやった。
「通学の電車はこんな感じかな?」
「ボク下着姿で電車なんか乗らないし」
「チューもしてみる?」
 ヒョイ、と軽い感じで薫の姿の真琴は向きを変えられた。ボクはこんなに力が強かったのだろうか、と考えた。それとも薫がこんなに華奢なのか。
「ちょっとまって、写真とるから。こっちでやって」
「えっ…… ちょっと薫」
 真琴の姿の涼子がニヤッと笑った。
 自分のニヤリと笑う顔が、こんなにいやらしいのかと思うと、ゾッとした。
 そのままグイグイを引っ張られ、薫の指定した場所に来ると、急に覆いかぶさるように自分の顔が迫ってくる。鏡で見慣れたサイズではあるものの、それとキスをするのは衝撃的で、かつ受け入れ難いものだった。薫の姿の真琴は、真琴姿の涼子の顔を押し返した。
「真琴、ちょっと写真とるんだからおとなしくしてよ」
「そうだよ、真琴、観念しなよ」
「ボクの意思は?」
「撮ったら終わりにするからさ」
 薫のその言葉と、背中に回った腕の力強さに真琴は仕方なく涼子と唇を重ねた。
 涼子の方は、単に写真用という感じではなく、本当に自分の興味と、欲望を満たす行為を行っていた。
 背中に回した手はスカートをまくりあげてくるし、舌は容赦なく真琴の中へ差し入れられる。足は挟み込んで身動きできなくなるし、押し付けられた太ももを動かして、真琴のあそこを刺激してくる。
 真琴は抵抗して唇を離す。
「ちょっと、涼子」
「ボクは涼子じゃない」
 これが自分の声なのだ、と思うと少し気恥ずかしくなる。
「いや、中身は涼子でしょ?」
「そんなこといいじゃないか」
 そう言って唇を重ねる。
 薫は薫で写真を撮るのに必死だった。何をやているのか具体的には見えないが、あっちこっちから撮ったり、連写してみたり、動画に切り替えたりしているに違いない。
「薫様、お食事が出来ました」
 メラニーが扉を開け、ロズリーヌがそこから出てきた。そこからだとおそらく薫の姿しか見えないのだろう。それともこんな事に動揺しないくらい、訓練されているのだろうか。
「すぐ行きます」
 二人は居間へ下がった。
「ちょっと食事にするね。真琴が下着なのに、薫が制服のままだから、なんか写真がアンバランスよね。二人とも制服になるか、二人共下着姿になってくれないかな?」
「ちょっと! 薫!」
「ボクはどっちでもいいよ」
「涼子のくせに、ボクって言うな!」
「涼子のくせにって…… 酷い……」
 手で顔を覆って泣き崩れた。