「だから、ミハル、変なことするの止めて」
「やっぱり止められないんじゃない」
「キミコ、怒るよ。キミコだってさっきミハルとキスしたでしょう?あれは不潔じゃないの?」
 あ、さっきのキスのことだ、確かにあれは唇を重ねてみよう、という意識下の欲望が働いたのだと自分でも思う。
 一方、頭のなかで、ミハルがマミの膝に手をかけ、私の方へ開脚させるという、妄想の暴走が始まっていた。
「そんな、あれこそ暴れるミハルを抑えるため、仕方なかったことなのに」
「キミコのことだから、柔らかそうだな、とかずっと妄想してたんじゃないの?だから偶然を装ってキスしたんでしょう?」
 いや、ホント、図星。
 しかし、何故私がこんなところでマミと喧嘩にならなければならいんだ。
 やっぱりこの変な妄想をやめて、普通のお風呂に戻そう。
 マミの膝に置いたミハルの手が、その足をグイっと開いた。
「ひっ……」
 その姿をバッチリ見て、記憶に刻み込むと、手で顔をおおった。
「いやぁぁぁ……」
 マミのため息のような声が聞こえた。
 慌てて股間を隠すが、私にとってはそんな仕草も今夜のオカズだった。
「だから何するのよ、ミハル」
「?」
 ミハルは相変わらず、自分が何をしているかの認識が薄い。
「キミコ見てないよね」
 いや、はっきりと覚えています。なんて、真実を言うことは出来なかった。
「う、うん。見てないよ。それより、ミハル、いい加減にしなさい」
「私はキミコのこころにしたがっ……」
 慌ててミハルの口に手をあてて塞いだが、マミがどこまで認識したのか分からなかった。
 このまま私の考えを読まれ続けるのは危険だ。
 早くお風呂を上がってしまうか、何か別の対策を考えないと。
「キミコのこころって、キミコ、もしかして、何かミハルにするように言ったの?」
「言ってないよ、だってずっと三人一緒だったでしょ?」
「廊下でもミハルの口を抑えたりしてたよね」
 私はマミの考えを読みたい、と強く思った。
 私をどこまで疑っているんだろう。
「?」
 ミハルが急に立ち上がった。
「ミハル、どうしたの?」
 私の後ろに立ち、私の両腕を抑えた。
「何するの?」
「ミハル、聞こえる?」
 私の腕を動かした。
 始めは何をしたいのか全くわからなかったが、持っていきたい方向が分かった。
 私の腕を持っていきたい先は、マミの胸だった。
 これは私の妄想ではない。
「キミコ、何してるの?」
「違うよ、ミハルが手を引っ張るんだよ」
 ということは……
 さっき思ったように、ミハルはマミの思考を読んでいるのだろうか。
 まさか。
 マミは胸を触られたい、と考えているとでもいうのか。
 ミハルは私の手首をハケのように使って、上下に左右に塗るように動かした。私は手の平をマミに向けないように、わざと手の甲を当てた。
「キミコ、キミコがミハルにやらせてるんでしょう?」
「違うよ、信じてよ、ミハル、違うって言って」
「……」
 何故、今になって無言のミハルに戻るのか……
「やっぱりキミコが考えた通りになってるのね」
「ほら、ミハル、手を離してよ」
「口ではどうとでも言えるわ」
「そんな……」
 私はそんなことを考えていない。
 確かに、ちょっと前までは考えていたけれど。
 ミハルは、私の手の平がマミの方を向くようにして、胸に押し付けた。
「ほらっ。どう言い訳するの」
「……」
 もうその感触に耐えきれなくなっていた。
 私はミハルの手がするのとは関係なく、胸の膨らみを確かめていた。指の間で挟んだり、つまんだり、引っ張ったりしていた。
「あんっ、きっ、キミコ……」
 その声に私の手が反応して、くりくりと乳首をいじり始めていた。
 避けれるはずだった。