「それ私のなのに」
「あっ、ゴメン……」
「!」
 急に振り返ったミハルが、私の口に手を当ててきた。
「(ダメよ。あれを持ってることがわかったらあなたが狙われる)」
 私はうなずいた。



「ここは百葉高校の寮ね」
「そ……」
「おっちょこちょいがマヌケな失言をしないようにしているだけ」
「そんな情報は制服をみれば簡単に推測つくわ」
「何故マミをさらった」
「可愛かったからかな?」
「カチューシャを付けたのは?」
「気持ちが知りたいからよ」
「カチューシャは気持ちが分かるの?」
「同じものをつけている同士ならね」
「じゃ!」
 私はミハルに耳打ちした。
 ミハルは首を横に振った。
「誰から指示を受けている?」
「そんなものはないわ」
 ミハルはチアキに迫った。
 その時、ノックの音がした。
「館山さん、いる?」
「……」
「寮監よ、出て」
 ミハルは私をぐっと睨んだ。何故睨まれるのかわからなかった。ミハルはまだ戻っていない、とウソをつけばよかったのだろうか。
 ミハルが小さくドアを開けると、寮監が言った。
「荷物きてるって連絡入ってない?」
 そのまま扉をぐいっと開け、床の荷物を部屋に突っ込んできた。
「タブレット確認してませんでした」
「ダンボールもう一個あるから。そっちは取りきてちょうだい」
 部屋の入り口に、大きなダンボールが置かれた。もう一個は流石に持ってこれなかったから、自分で持っていけということのようだ。
「……」
 ミハルがこっちを見ている。
 私はしばらく考えて、寮監にチアキが見つかってはマズいことに気がついた。
「ごめんごめん。私が取りに行くね」
 ミハルに手を合わせると、寮監の手を引いて廊下をあるいた。
「どこに荷物きてますか?」
「館山さんにやらせないとダメなんじゃない?」
「いいんです。館山さん用があるみたいなんで」
「白井さんが、イジメられているとか、使いっぱしりになっているとか、そういうことじゃないのね?」
「イジメられてなんかないですよ」
 寮監は良かった、と言って笑った。
 置いてあるダンボールはさっきのと同じぐらいの大きさだったが、かなり重かった。
「大丈夫かい?」
「あっ、大丈夫です」
 本当は手伝ってほしいくらいだが、手伝ってもらうとまた部屋のドアを開けなければならない。開けたらミハルとそのそっくりさんが…… っていうのはシャレにならない。
 なんとか階段を登りきると、荷物を一度床に置いた。
「ふぅ……」
 ダンボールの箱の柄から、大手の通販会社のものだということはわかる。
「通販なんかしてるのか。それにしてもこんな大きい箱に目一杯買うなんて、やっぱり、すごいお金持ってるんだよな……」
 何故こんなに沢山お金を持っているのか。
 そしてそれが、どういうお金なのか。
 親の小遣い? 大きすぎる。
 バイトで稼いだとしても、いったい、いつバイトしている?
 短時間で高額な報酬を得られる手段なんて限られてくる。
 手段のいくつかは、ヤバイ仕事になってくる。
「またミハルの放課後の行動か……」
 もう一度ダンボールを持ち上げて、なんとか部屋の前についた。
 ノックをするが、反応がない。
 まさか、チアキとミハルが……
 急いでドアを開けて中に入る。
「どうしたの?」
「何やってるの?」
「見ればわかるでしょ? 勉強」