私も、チアキもミハルもうなずいた。もちろん、マミも。
「確度が違うからね……」
 ミハルとチアキから少量の血液を取り出した。
 二人は腕を抑えてしばらく横になっているように言われた。
「一応私の簡易検査もしとく?」
「お願いします」
「その方が早いし」
 先生はニヤリ、と笑った。
「それじゃ、頂きます」
 ミハルの目を手で抑えて閉じさせると、そのまま口づけをした。
 口元のようすから、舌が絡んでいるのが分かる。
「はい。じゃ、こんどはあなた」
 チアキに顔を近づけると、覚悟したように目をギュッと閉じた。
「いただきます」
 先生はそう言うと、みぞおちあたりにキスをしてから、首筋を舐めあげるように上がっていき、唇の形を確かめるように噛み、ようやくキスをした。
 マミが私の背中をつついた。
「(この前もこんなことしたの?)」
 私は首を振った。
 近いことはしたが、こんなことまではしなかった。
 ウソは言ってない。
 チアキはビクン、と体が動いた。
「(あれ、感じてるのかな?)」
 マミが私に体をくっつけてきた。こっちも何か変な気になる。
「プファ〜」
「わかりましたか?」
 マミが言った。
「さっきも言ったけど、確度が違うから」
「わかったんですよね?」
 私もどうしても確かめたかった。
「二人はもう少しそこで休んでて」
 仕切りを閉じると、私達に顔を近づけるように仕向けた。
 先生を真ん中に、私が左耳、マミが右耳を近づけた。
「(いい、絶対本人達には言わないこと)」
「(はい)」
 二人で声が揃ってしまった。
「(二人は全く同じ。双子の類よ。けれど生きている経過時間が違う。同じ場所で生まれていないんじゃないかしら)」
「(なんですか? それ)」
 また二人が同じことをきき返してしまった。
 生きている時間が違うのに双子? コールドスリープでもしていたというの?
「(どちらかだけ早く取り上げられて、もう一人はずっと母のお腹にいた? とか?)」
 なにを言っているのだ、破水したら中に残っていることはできない。時間差があったとしても数十分の違いのはずだ。
「(じゃ、そんなに時間変わらないでしょう?)」
「(少なくとも一週間とか、そういう単位で違うわ)」
「先生! そろそろ授業に行かないと」
 しきりの向こうからチアキの声がした。
 私とマミは、ビクッとして背筋が伸びた。
「それじゃ、皆さん、そろそろ教室に戻ったら?」
「は、はい。ミハル、チアキ、行ける?」
「先行ってて」
「……」
「ミハル、チアキは?」
「先行っててって」
「……」
 しきりの向こうを睨んでから、保健の先生を見た。
「みてたげる」
 と言って、保健室の先生がうなずいたので、私達三人はチアキを残して教室へ向かった。



 教室はまだ席についていなくて、クラスの連中は好き勝手に動き回っていた。
 私達三人はそれぞれの席についた。
 席についてふと考えた。
 マミが連れ去られるまでの事が解決していない。
 佐津間の行動も分かっていないし、鶴田の木場田がなぜミハルと一緒に行動していたのか。
 聞くタイミングはあったのに……
「(キミコ!)」
 小声でマミが呼びかけてきた。
 廊下側を指差している。
「(あれみて……)」
 担任の佐藤と…… チアキだった。