門の前に車を回すと、新庄先生に電話した。
『ついた? 開けとくから勝手に入ってきて』
「わかりました」
 わかりました、と言っている間に通話は切れていた。
 目の前の門が自動で開くと、鬼塚は車を塀の中に入れ、新庄の家の前に止めた。
「ちょっと着替えてきます」
 急いで車を降りると、走って新庄先生の家に入った。
 さっき言っていた通り鍵は開いていた。
 入ると、そのまま家に上がった。
「先生、おじゃまします」
「上に来て」
 私はドアに鍵をして階段を上がっていった。
「とりあえず冬物をだしたわ。こっから選んで。ちょっとホコリくさいかもしれないけど」
「ありがとうございます」
 部屋の床、ベッドの上にインナー、上着、パンツ、マフラー、コートのが見えるように散らばっていた。
「セントラルデータセンター…… こんな服がいるってことは、冷却層の上に行くのね」
「……」
 これから選ぶのは時間がかかる。
「選んでいる時間に、脱いどきなさいよ」
 新庄先生が私の背後に回った。
「急に電話して押しかけてくるなんて、また鬼塚のバカが行き当たりばったりなせいね?」
「あっ、あの……」
「こんなこと気にしないで急いで服選んでよ。私だって、本当はここに居られるのはイヤなのよ」
「服なら自分で脱ぎますから……」
 私は膝に力をいれて、足を閉じた。
「ほらっ、力を抜かないと脱がせられないじゃない」
 本当に脱がせるだけなんだろうか、と思いながらも、少し力を抜いた。
 いきなり、制服のスカートからおろされた。
「かわいいパンティね」
「あのっ!」
「なに? 選び終わったの?」
「まだですけど、あのっ、今、」
 確かにおしりに唇…… というか舌で舐めてきた。
「舐めたりしないでください」
「大丈夫よ」
 だめだ、後ろにいられたら何をしでかすかわからない。
「先生、おすすめはどれですか?」
「えっ?」
「とびきり暖かいやつは?」
 私の上着を脱がせたところでやめ、新庄先生は私の横にたった。
「これと、これ。下はこれね」
 指さしたかと思うと、また背後に回って服を脱がせ始めた。
 ペロリ、と背骨に沿って舌でなめあげられた。
「ひっ……」
「緊張してるわね。緊張の『ん』がカタカナになるほど」
「ど、どういういみですか」
「私がただ若い女の子をなめたくてなめてるわけじゃないの。何を考えているのか、どういう状態なのかわかるのよ」
「……」
 確かにすごく緊張している。
 今日、これからセントラルデータセンターに行き、さらわれたマミを取り返さなければならない。失敗は許されない。
「緊張は動きを抑制するわ。完全なパフォーマンスを発揮しないと勝てない。緊張は損よ」
「けど、またこの前みたいには……」
「そうね。今日はもう時間もないしね。……だから、可能なかぎり今してあげる」
 一枚、一枚着ているものを脱がされながら、新庄先生に愛撫される。
 指のなぞり方、動きの一つ一つが無駄なく、感じるところをくまなくたどっていく。
 完全に裸になったときには、緊張感の『き』の字すら頭になくなっていた。
 そして、ぴったりしたインナーをつけると、その上からタッチされ、耳元にささやかれる。
「あなたは獣になるの」
 新庄先生からものすごくいい匂いがしてきて、このまま抱かれていたくなる。
「あっ、違う…… 着ないと」
 レギンス、上には薄いがきっちり空気の入ったダウンを羽織った。
 頭には毛糸の帽子を被った。
「ゴーグルも持っていったら?」
「スキーするわけじゃないですから」
「……本気よ。寒いなら目もあけれなくなるはず。濃い色はついてないから、大丈夫」
 新庄先生に言われるまま選んで着た服は、かなりスリムなタイプのスキーウェアだった。
 とにかく薄いレギンスのようなもので、下はすっきりしている。しかし、一番したに着たインナーのおかけで暑いくらいだ。