「さっき『ヘッドホンかわいいですね』って言われた後、どこからか探査されたような気がするんです。ものすごいトゲトゲの針が頭を刺してきたような……」
 手の平を叩いて、清川が気付いたように言う。
「あれだ、辺りを見回してた時のことだ」
 亜夢はうなずく。
「何か、引っ掻いてきたような感覚があったんです。私を探している、というか」
「早速調べようよ」
 亜夢は首を振る。
「三崎という人なのか、三崎という人じゃないどこからか…… そこが確信持てないんです」 
「だから見回した」
「そうです」
 亜夢と清川が同時に肩を叩かれる。
「おい」
「!」
 パッと亜夢は干渉波キャンセラーを耳から外す。
「……なんだ、加山さん」
「どこほっつき歩いてるんだ」
「亜夢ちゃんが超能力で反応するフロアを調べたんですよ」
「いいか、一人で行くな、と言ったが、だからと言って、無断で行っていいは言っていない。今後は一言こちらに言ってからいくんだな」
「……」
 亜夢は加山をにらんだ。
「それじゃ、言ったら二人で調査させてくれましたか?」
「……」
「清川さんと先にパトカーに戻ってます。いいですか?」
「……ああ」
 亜夢は清川の手を引き、一階のホールをスタスタと去っていった。
 遅れてきた中谷がたずねる。
「加山さん、どうしました?」
「……」
 加山は亜夢たちを追うようにフロアを歩き始めた。
「えっ、どこに行くんですか、加山さん!」
 中谷は追いかけた。
 
 
 
 ぐいぐいと手を引かれて、清川は何度か転びそうになった。
「亜夢ちゃん、いったいどうしたの?」
「……」
「加山さん、なんか変だった?」
「変ですよ。私が呼ばれて警察署に入った時から」
「なんのこと?」
 清川は立ち止まった亜夢の正面に回り込んだ。
「捜査させたくないみたいなんですよ」
「そんなことないでしょ?」
「何かかくしている感じなんです。情報を隠して、わざと捜査を遠回りさせているような」
 亜夢は清川のパトレコを指さし、「この中の情報、加山さんに渡す前にコピーとっておけませんか?」
 清川はスマフォを取り出し、パトレコを接続した。
 スマフォに桜の大門が表示され、パトレコの内容を保存する操作をしてくれた。
「はい。これでとりあえずコピーは取ったわよ。これは個人のパスワードがないと消せないから」
「ありがとうございます」
 カツカツ、と足音が聞こえた。
 亜夢は小さい声で清川に指示した。
「スマフォしまってください!」
「どうした、清川」
 慌ててスマフォをポケットにしまう。
 加山はじっと清川を見る。
「なんか変ですか?」
「……清川、パトレコはどうした」
「へっ、あ、ポケットにいれてました」
 慌てて胸に付けなおそうとすると、加山がそれをつまみあげる。
「さっきどんな捜査をしたか、見せてくれ」
「あっ、ちょっとそれは」