ガラス張りの仕切りの先に、綺麗なくびれのラインが見える。
「綺麗なおしり……」
 亜夢はため息をついた。
 シャワーの音がし始めると、あっという間に水しぶきと蒸気で中の様子はぼんやりとしか見えなくなってしまった。
 干渉波キャンセラーであるヘッドホンを両手ではずした。
「女の子同士なんだから。意識し過ぎよ」
 亜夢は自分の頬を両手で挟むように叩き、服を脱いでベッドの上に畳んだ。
 ゆっくりと歩き、美優のいるシャワールームの扉を叩いた。
「私も入れて」
 美優は微笑み返した。
 扉が開くと、濡れてピカピカした美優の肌がまぶしかった。
「洗いっこしよう」
 鏡写しにしたように向き合った体。
 スポンジを使わずに、直接手にボディソープをつける。
 右手が左手、左手が右手。
 腕をずっと伝って、小さな肩の盛り上がりに触れる。
 お互いが鎖骨のあたりを洗いあうと、くすぐったいのか、口元がゆるむ。
「亜夢……」
 美優は亜夢のうなじのあたりに手を滑らせてくる。
 同時に体を引き寄せる。
 正面から体が触れ合い、亜夢の体は躊躇したように下がった。
「?」
「……」
 亜夢は美優の胸の上から脇の下をまわって、背中に触れた。
 同時に、引いていた体を元にもどした。
 亜夢は美優の体を強く引き寄せる。
「あっ……」
 亜夢は戸惑ったような表情を見せる。
 美優は首を振り、瞳を閉じて亜夢を見上げる。
 ぴったりと触れ合っている胸から、鼓動が伝わってしまうのではないか、と亜夢は思う。
 亜夢もゆっくりと顔を近づけながら目を閉じ、唇を重ねる。
『あなた、ヒカジョね』
 唇を離し、亜夢は目を見開く。
 美優はまだ口づけを待っているようで、そんなことを言った風ではない。
「……」
 美優の魅力的な唇を、口でなぞるようにキスをつづける。
 さっきのようなテレパシーは聞こえてこない。
 背中に回していた手を、少し下に、美優の腰から下がっていった。
『ヒカジョのクソが何やってんだ!』
 亜夢には、触れている美優の体や、見えている表情と、入ってきたテレパシーが一致しなかった。
「?」
 美優は不思議そうに亜夢を見つめる。
「ごめん、美優…… 背中を洗うから。後ろ向いて」
「どうしたの?」
「なんでもないよ。ほら、からだ冷えちゃうよ?」
 美優は背中を向けた。
 たぶん、かるく触れているだけなら聞こえてこないだろう。亜夢はそう考えていた。
 暖かいシャワーで流すと、美優が言う。
「交代しようか」
 美優は亜夢の背中に体を押し付けるようにして洗ってくる。
 当然のように胸に手を回してきて、押し上げたり、敏感な部分に指で触れてくる。
「あっ……」
『けッ、感じてんじゃねーぞ、ヒカジョの分際で』
 亜夢はハッとして振り返る。
 亜夢の表情をみると、美優がおびえたような顔になる。
「ごめん。違うの」
「流すね」
 美優はシャワーヘッドを亜夢の背中に向けた。
 丁寧に、優しく流してもらう。