応えがあった。
 私は両手をそのコアに置き、話しかける。
『私と一緒に戦って!』
 ……違う。このコアじゃない。
 部屋を見渡した。
 確かにこの中に感じる。
『どこ? コアさん、私に協力して。返事をして』
 ガシャン、と音がして、二本のパイプの上に乗っていたボールが軒並み床に落ちる。
 プシュゥ。とあちこちから同時に音がして、コアが壊れていく。
『いるの?』
『俺だ』
 中央のボールがパイプから跳ね上がった。
 ガシャン、と音がしてパイプが激しく揺れる。
「これか? キミコ」
 私はうなずく。
 父はそのコアを両腕に抱きかかえるように持ち上げる。
「帰るぞ」
 強い寒気を感じて、私は振り返った。
 そこには〈転送者〉がいた。
『コアを返せ……』
 声はなかった。直接頭にそう訴えてきた。
 テレパシーなら、〈転送者〉と人間の境を超えてコミュニケーションがとれるのか。
 E体をスマートな人型にしたような黒い〈転送者〉はそう伝えてくると、同時に殴りかかってくる。
「父さんに知られてるんなら!」
 殴りかかってくる〈転送者〉の腕をすり抜け、私は懐にはいった。強く突き出した私の足…… 鳥の足が胸のコアを貫いた。
「プシュゥ……」
「父さん、出口は? 出口はどこなの?」
 コアを抱えて歩く父は答えない。
「父さん!」
「わからん。どこかの扉だ。開けまくるしかない」
「父さんは何度も行き来したんでしょう?」
 前後左右を見回しながら、通路を進んでいく。
 正面に、さっきと同じスマートなE体である黒い〈転送者〉が現れる。
「父さんはそこの階段を上がって」
「すまん……」
『コアを返せ!』
『聞こえる? あなた方が私達の世界にくる理由は何?』
『コアを、かえ、せ』
 〈転送者〉の振り上げた腕が止まった。
『どうしたの?』
『お前が話したのか?』
 私は自分を指さす。
『そうよ。私たちが戦うのは、あなたたちが侵略するからよ』
『……』
 腕を下した。
 瞬間、逆の腕が振り上げられて、私に振り下ろされた。
『うるさい!』
 気を抜いていた私は、バックステップし、ギリギリでそれを避ける。
『うるさい!』
 左右が逆になるだけで、同じ行動を繰り返してくる。
『うるさい!』
 機械のように正確だ。
 〈転送者〉はそもそも機械なのか、生命体なのか…… 考えたこともなかった。
 私は腕を振り上げると同時に〈転送者〉と距離をゼロにし、肘打ちして体の中心にあるコアをはじき出す。