足は逃げ遅れているバスや車の上に、ちゅうちょなく下される。 
「!」
「何人…… あんなので何人死んだんだ……」
 鬼塚がつぶやくように言う。
「……もう終わりだ」
 ゲートから巨大〈転送者〉の上半身も転送されてくる。黒い岩の塔をつないだような姿だった。黒い包帯のミイラとでもいうべきか。
 〈転送者〉は小刻みに歩を進め、端から車をつぶしていく。
 ガソリンに火がついて燃え上がる車両もあった。
「こんな巨大な〈転送者〉誰も止めれない……」
 ゆっくりと巨大〈転送者〉が都心に向かって歩いていくと、炎が上がっている道を縫って、赤いスポーツカーがこちらに向かってくる。
「成田…… さん?」
 助手席にはマミが乗っていた。
 成田さんがおりて、助手席に回ると、マミに手を貸してくるから下した。
「頼まれた通り、木更津マミを連れてきましたよ」
「なに、今の……」
 マミは顔面蒼白だった。
「あっちに行ったらパパもママも…… どうなっちゃうの」
 私はブルっと震えが来た。
 これで失敗したらマミも消えてしまう。同時に最後の希望も無くなってしまう。
 私の父もいない。このままでは巨大な〈転送者〉が次々に出てきてしまう。
 迷っている時間はない…… けど……
「キミコ、ねぇ、どうしよう? わたしたちどうなるの?」
「父さん……」
「キミコ、なんてい言ったの?」
 〈転送者〉が破壊する音で、時々声がかき消される。
「マミ!」
 私はコアをもってマミの前に立った。
「あなたを失いたくない。あなたをうしないたくない……」
「?」
 私はそのまま前にでて、マミからこのコアに触れてくれることを祈った。
 いや、触れないでくれることを祈ったのかもしれない。
 結論が出てしまった。
 マミはコアごと私を抱くように手を広げて近づいてきた。
 そして、そのまま……
『トランスフォーム』
 私が伝えると同時に、コアもそう言った。
 高熱で溶かされたようにマミの体は液化すると同時に何百倍もの体積に増加する。
 マミは|素材(マテリアル)となってコアを私を包み込み、そして私を繭のような空間に閉じ込めた。しばらくすると、繭の中は肌色のジェルで満たされた。
『もしかして……』
 |鬼塚(そと)からの|言葉(テレパシー)には、さっきとは違う驚きが含まれていた。
 私は内から湧き上がってくる力と、すぐ隣にマミの姿がイメージされた。父の時とは何かが違う。
『イケる』
 足に返されるフィードバックは父の時より明確だった。
 足を上げて、前に踏み出す。
 何気ない日常の動作と同じ。
『歩いた』
 鬼塚が驚いたように、そう伝えてくる。
 大きさはさっきと同程度で、巨大〈転送者〉の半分ほどの高さだが……
『勝てる』
 確信がある。自分自身があるいているような反応速度しか分かっていないが。まるで、安心感が違う。
『キミコ』