マミは頬を赤らめた。
「えっ?」
 私は視線を下げた。
 マミの大きな胸のラインが自分にぶつかっているのが見える。
「じゃ、これ? 本物?」
 肩に置いた手をなぞるように胸まで下す。ピンク色の突起を指でそっと挟み、くりくりといじりはじめる。
「あっ、キミコ、それっ…… ダメ……」
 興が乗ってきた私は、手と同じコースに舌を這わせる。
 一段と色っぽい吐息が聞こえてくる。
「ちょっと、キミコ」
「ごめん」
 もうすこしで舌が先端にたどり着くところだったのに。
「なんで私だけ裸なの?」
「確かに」
 私は服を着たままだ。どろだらけの靴でマミの『中に』いたことになる。
「とにかく服になりそうなものを探そう」
 私は焦げ臭い道路を進み、何か布が落ちていないか探して歩く。
「マミはここで待ってて」
 裸足のマミにはこの道路を歩くのは無理だ。
 ひしゃげた車、血だらけの窓ガラス。死体、死体とも分からないばらばらになってしまった人の部分……
 惨劇を目の当たりにし、巨大〈転送者〉がどれくらいの破壊力だったのか分かる。
 つぶれたバスが燃えずに残っているのを見つける。
 ものの燃える音しか聞こえてこない。人は、バラバラになっているか、倒れて動かない。
 そのバスの残骸に、窓に掛かっていたであろうカーテンが散らかっていた。
 ガラスは粒状に砕けていて、カーテンには刺さっていないだろう。窓につけていたであろう帯と、それをいくつか拾って戻った。
「マミ。服はないけど、とりあえずこれで」
「カーテン?」
 マミは体に巻き付けて、カーテン止めの帯で体に縛り付けはじめた。
「あ? 鬼塚刑事のジャケット借りたほうが早かったじゃん!」
 自分で言って、鬼塚がいないことに気が付く。
「ってか鬼塚は? いないの?」
 鬼塚が、巨大〈転送者〉の爆発に巻き込まれた?
「ちょっと探してくる」
 ゲート方向へ入っていく。巨大〈転送者〉の踏み抜いた部分のアスファルトが、波打ったようにめくれあがっている。
 近づいてくると、鬼塚の車が見えた。
「?」
 鬼塚が車から出てくるのが見えた。
「鬼塚刑事!」
 私の声に気付かないほど、慌てて走っている。一瞬の間の後、四つ足の獣になって、なお走る。
「鬼塚刑事」
 鬼塚刑事が走る方向と逆、車から閃光が目に入る。私はとっさにアスファルトのくぼみに飛び込む。
 ドン、という大きな音がして、車が爆発した。
 何が何だかわからなかった。
「鬼塚刑事!」
 私はもう一度叫んだ。
『大丈夫だ』
『よかった! 何があったんですか?』
「車に爆弾が仕掛けられていたんだ」