「……ありがとう」
「ごめん」
「いいのよ。食堂でジュース買って乾杯しない?」
 私の提案に三人は賛成してくれた。
 夕食には早いため、食堂は空いていた。
 私達は窓際に座って、ジュースを並べた。
 チアキとマミが小声で話し合っている。
「(やっぱり、乾杯! って訳にはいかないよね)」
「(おつかれさま、とかでどう?)」
「(そうだね。それにしよう)」
 準備ができると、四人はジュースを持って立ち上がった。
 チアキがジュースを少し高く上げ、
「キミコ、おつかれさまでした」
『おつかれさま』
 ジュースを各々チョン、とぶつけると、口に含んだ。
 私は、皆の笑顔を見て、体が楽になった気がした。
 私はつぶやくように言った。
「帰ってきたんだ」
 マミが聞いていたのか、ちいさくうなずいて見せた。
 チアキがテーブルの下に手を伸ばすと、
「そうだ、ポテチあるけど食べる?」
 と言った。
「食べる食べる」
 四人の真ん中に、ポテトチップスの袋が開けられた。
 四人が一斉に手を伸ばすより先に、上から一枚、スッと手が伸びてきた。
「ひさびさにポテトチップと食べたわ」
「新庄先生」
 声に振り返った。
「白井さん、ちょっといいかしら」
 私は手に取ったポテチを袋に返して、新庄先生に付いて食堂を出た。
 下駄箱で靴を履き替え、先生の後をついて寮の外に出た。
「木更津マミさんにコアを持たせてるって本当?」
「いきなりなんですか?」
「そうなの?」
「はい。父が『お前の最も大切にするものをコアに取り込め』と言っていました」
「……」
 新庄先生は腕をくんで黙ってしまった。
「今度、またあの大型が来た場合、木更津マミを連れて行かなければならないのよ? 私や、鬼塚刑事のことは知っているの?」
「連れて行きません」
「えっ? そういう答えだとは思っていなかったわ」
「マミを殺すわけには行きません。だから、もう二度と〈転送者〉の出る現場にマミは連れて行きませんから」
「……どういうことか分かって言ってるんでしょうね?」
 両手の拳を握ると、私は体が少し前に出ていた。
「私達は〈転送者〉と戦うべく組織された集団なんでしょうか? 鬼塚刑事が勝手に呼ぶから、個人的に戦っているだけなんじゃないですか? そんなことに、マミを巻き込まないでください」
「なに言って……」
「国家が」