「なんじゃ、聞かんうちに諦めるか?」
 亜夢は口を開いた。
「校長。昨日、美優がまた|精神制御(マインドコントロール)されちゃったんだ。美優にも|非科学的潜在力(ちから)があるんだから、その|精神制御(マインドコントロール)に対抗できるはずなの。知っていたら方法を教えてくれないか?」
「……言葉遣いが酷いのぅ」
「えっ? そこ?」
「それに、いまさっき|非科学的潜在力(ちから)に|超能力(ちから)で対応するな、と言ったはずじゃがな。理解してはくれんのかな」
 亜夢が身を乗り出した。
「それじゃあ、|非科学的潜在力(ちから)じゃない方法でもいいよ。とにかく、美優が|精神制御(マインドコントロール)から逃れられる|術(すべ)が知りたいんだ」
「……」
 亜夢の真剣さは周りにも、校長にも伝わっていた。
「……」
 黙ったまま校長は立ち上がって、窓から外を見る。
「確かに|精神制御(マインドコントロール)は良くないのぅ」
 校長は何か思いあぐねているようだった。
 ゆっくりとあるきながら話しだした。
「わしには洗脳やら、マインドコントロールを解くすべを知らん。ましてや|超能力(ちから)を使えんのだから、西園寺に降りかかる災厄の大きさや深刻さなど、とうてい理解できんだろう」
「えっ?」
「じゃが、過去に自分ではどうにもならないことや、自由を取り上げられたようなことは経験しちょる。それを何倍かにしたもの、と考えれば、今の西園寺が、どんなに辛く苦しいことかは想像出来る」
「……」
「わしには|術(すべ)を教えることができんが、知っているかもしれない人物を教えることは出来る」
 亜夢が立ち上がって、校長に詰め寄る。
「それは誰ですか?」
「ここにはおらん。週末は連休になってるから尋ねるといい。話はしておく」


「着いたね」
 着いたのは眼下に海が見える無人駅だった。
「汽車に乗るは久しぶりで嬉しかったけど、もうお腹いっぱいって感じだな」
 アキナがそう言うと、奈々が言う。
「帰りも乗るんだよ」
 それを聞いて、疲れた、という感じにアキナは顎を上げてしまう。
「亜夢、ここ、海沿いじゃなくて、山って感じだね」
「……」
 美優の問いかけに亜夢は答えなかった。
「亜夢?」
「呼んでるんだぞ、亜夢」
 アキナが言うが、亜夢はじっと海の方を見ている。
「亜夢どうしたの?」
 奈々が亜夢の手を取ると、ようやく意識が戻ったように
「あ、ごめん。校長の言ったことを思い出してた」
「なんのこと?」
「この駅で降りて『ハツエ』を訪ねろって言ってた。『ハツエ』って言われてるだけで、住所とか、そういうの一切なかった。電話番号もしらないって」
「えっ?」
 奈々がビックリして、「いまの聞いたよね」と言わんばかりにアキナと美優の方を振り返る。
「じゃ、ここから先どうするの?」
 アキナがそう言う。
 亜夢は腹をくくったように、
「私達でその『ハツエ』を探すしかない」
 と手を広げてみせる。
「ちょっとまって、探すったってここ周りに家とかある?」