「キミコが移ることになった部屋かもね」
 私が言う前に、マミがそう言った。
「どうしよう」
「一緒に行ってあげるよ」
 私とマミはタブレットのメッセージにあった通り、寮監室で鍵を受け取り、移動になった部屋に向かった。
 隣の部屋の扉からは廊下に灯りが漏れていたが、私の新しい部屋からはなかった。
「マミ、誰もいないのかな」
「灯りはついてないね。だって、鍵はキミコのところでしょ」
「オレーシャは、アリスにも渡してるって言ってた」
 私は扉のノブに手をかける。
「どお?」
「待って」
 大きく息を吸って、吐いて、手に力を入れる。
「回った」
 ゆっくりと扉を開けて、中に入っていく。
「(怖いよ)」
「(寝てるだけよ)」
「ごめん、灯りつけるね?」
 私は大きく声でアピールし、壁のスイッチを入れた。
 灯りがつくと、手前と奥のベッド、机が二つ、カーテンがしまった窓が見えた。ベッドの布団は……
「奥のベッドにねてるんじゃない」
「もぐって寝てるのかな」
 マミはうなずいた。そして、ベッドを指さし、
「それくらいしか考えられないじゃない。これだけ盛り上がってるんだし」
「か、確認するね」
 マミは私の服を掴みながら後ろをついてくる。
 私はゆっくりと奥のベッドに進み、布団の端に手をかける。
「いくよ」
「うん」
 パッと布団をめくる。
「キャー」
 私は振り向いてマミに抱きついた。
「なに?」
 私のせいで見えないのか、マミは何が起こったのか分からない。
 少し冷静になって、マミに状況が見えるよう、体の向きを変える。
「ほら、あれ」
「うわっ! って。何がおかしいの?」
「へ? だって死んでるんじゃ……」
 マミはアリスの口と鼻のあたりにそっと手をかざす。
「息してるし。目を開けて寝る人多いじゃない」
「ほ、ほんと?」
 私もゆっくりと口と鼻のあたりに手を伸ばす。
「ギャー!」
 私が手を伸ばした瞬間に、アリスが口を開いたのだ。
「ほら、呼吸するために口を開いただけ。ね?」
 もう一度大丈夫なことを私に見せるため、マミが手を伸ばす。アリスの顎を押して、口を閉じさせる。
「いい?」
 マミがアリスの鼻をつまむ。
 さっきと同じようにパカッと口が開いた。
「うわっ!」