『通常、目や視覚の仕組みが違うからの。儂ぐらい|非科学的潜在力(ちから)を極めれば造作もないことじゃが。どうじゃ。わしから|超能力(ちから)を学ぶ気になったか?』
 亜夢は小さくうなずいた。
『凄すぎます』



「あっ、ヤドカリだよ」
 奈々が砂浜の生き物を見つけて指さす。
「えっ、ヤドカニでしょ?」
「?」
 奈々は正しく聞こえていないようだった。
「綺麗な貝殻をお家にしてるね」
 奈々が四つん這いになってヤドカリの動きを追いかける。
「知ってる? 大きくなったらこの貝殻を捨てて、他の貝殻とかに入るんだよ」
 美優はちょっと返しに詰まった。
「し、知っているわよ。ヤドに住むカニだからヤドカニっていうんでしょ?」
「?」
 奈々はさっと手を砂に差し込むと、砂ごとヤドカリを救い上げた。
 美優の前に手を伸ばす。
「ほら? きれいだよね?」
「きゃっ」
 美優は身震いして後ずさりした。
「大丈夫だよ。ほら、よく見て」
 奈々が殻の側をつまんで持ち上げる。
「これは『カニ』じゃなくて、ヤドカリだから。カニじゃないから横にも進めるよ」
「……しってるわよ。ヤシガニとかと勘違いしただけよ」
「ほら。触ってみる?」
 奈々が一歩前に出ると、美優は海の側に一歩下がった。
「大丈夫。噛んだりしないから」
 また一歩出ると、美優は小さく飛び上がるように後ろに下がる。
 その時、また大きな波がきて二人の足元をすくう。
「きゃっ」
 美優が不意に倒れ込んできたせいで、奈々も一緒に転んでしまった。
 倒れた時に奈々が体をひねったせいで、奈々が手をついて美優の上にいた。
「あれ?」
 美優は手に引っかかっている布に気付いた。
「きゃあ」
『ぶっ!』
 奈々は美優が持っている布が、自分のビキニ(胸の部分)だと気づき、声を上げるとともに腕で胸を隠した。
「ん? 今、何か言った?」
「とにかく、美優。それ返して。ねぇ、返して」
 奈々はパッと美優の手からビキニを取り返す。
「重いよ」
「つけるまで待ってて」
 美優にまたがったまま奈々はビキニを付けなおしている。
「あれ? 奈々、ヤドカリは?」
「えっ? 転んだ時に投げちゃったかな」
 奈々が水着を着け終わった。
『もう終わり?』
 美優は何か叫ぶ声が聞こえたような気がした。
「?」
「どうしたの美優」
 美優はあちこちを見回すが、誰も見つからない。
「あっ、ヤドカリ、そこにいるよ!」
 ヤドカリは美優の首元に上がっていた。
 奈々が言うが、美優も気が付いたが触ることが出来ない。