「自分で自分の行為を変態と認めたことになりますからね」
 言いながら清川は腕を組み、目を伏せてうなずいた。
「だから、絶対にばれないように清川くんの名前で」
 ハンドルをバン、と叩くと、清川は言った。
「私はどうなるんですか? 盗まれたパンツを買い戻す婦警って、どう思われると思ってるんですか?」
「ストレートに考えれば、百合ロリじゃないかな?」
「百合&ロリ」
 清川はなぞるようにそう言う。
 今度は中谷が腕を組み、目を伏せてうなずく。
「う~ん。男のロリより、より変態度合いが増した感があるな」
「絶対にいやです」
「本当は…… 清川くん」
 まさか、油断しかかったところで、証拠をつきつけるのではないか。清川は顔をひきつらせた。
「えっ?」
「この金額出す、っていったらどうする?」
 スマフォの計算機アプリに、かなりの金額が提示される。
「えっ? それマジですか」
 有休を取って、近場の海外旅行か、国内の贅沢旅館をつかう旅が出来そうだった。
「ボーナスの半分を突っ込む形になるな」
 後ろ髪引かれつつも、その為に変態の汚名をかぶることになるわけだ。清川は現実を直視した。
「すこし心が揺らぎますが……」
 中谷は人差し指を立てて、清川を諭すように話し始める。
「そうだな。清川くんの染みつきパンツを乱橋くんのだ、とウソをついてもその金額が手に入るわけだからな」
 真実を知って、ワザと言っているのか、天然なのか、清川には判断がつかなかった。
「な…… なにをいってるんです」
「俺は構わないんだ。差し出したパンツがどう使われるか、と考えればそんなウソは付けないはずだからね」
 清川は『はぁ?』と逆切れ気味に言い返そうとした言葉を、ゆっくりと飲み込む。 
「えっ……」
 中谷は清川の肩をつつく。
「どう? 取引できるかな?」
「……どうつかうか、聞いてもいいですか?」
「XXXを○○○して△△△」
「ぎゃあ!」
 清川は強い嫌悪感とともに、鳥肌が立つのを感じた。
 その時、駐車場に爆音が響いた。
 亜夢とアキナを連れてくる途中に出てきたアメリカンバイクに乗った女が現れた。
「あの女!」
 清川はすばやく車を降りると、迷わず拳銃を抜いて構えた。
「警察よ。さっきの公務執行妨害で同行してもらうわ」
 バイクはクラッチを切って、ドルン、と空ぶかしした。
「止まりなさい! 聞こえないの?」
 中谷が車にパソコンを置いて出てくる。
 中谷も拳銃を抜いていた。
「止まりなさい!」
 撃てないと判断したのか、当たらないと考えたのか、バイクの女は二人を無視してオートドアの方へバイクを走らせる。
 そのままドームスタジアムの通路を入っていき、貨物用のエレベータに乗った。
「待ちなさい!」
 清川と中谷が中に入った時には、エレベータの扉が閉まっていた。
「くそっ!」
「中谷さん、パソコンで連絡して」
「わかった」