「以前、私がこっちにきて、アキナと|思念波(テレパシー)で話したことがあったでしょ? 何かズレはあるのよね。距離がどう関係したのかはわからないんだけど」
 亜夢はあごに指を置いてそう言った。
 腰に手をあてて、アキナが返す。
「そうなのか。そんな違和感、わからなかったぞ」
「何かが見えなくなっているのよ。重要ななにか。きっとそれが、|精神制御(マインドコントロール)には重要なファクターなんだわ」
 中谷と清川が、わざと亜夢の視線に入るように近づいてきた。
「お話し中すみませんが……」
「?」
 中谷が説明を始めた。
「ここを出ないといけないんだ。このドームスタジアムを所有者に返さなきゃいけないしね」
 亜夢たちは顔を見合わせた。
 清川が気持ちを察したように言う。
「えっと、あなたたち、今日はヒカジョには帰れないわ。ヘリの手配はしてるけど、早くても明日の午後になりそうよ」
「じゃあ、今日は……」
「みんな一緒の部屋ってわけにはいかないけど、署のホテルに泊まってもらうわ」
 亜夢は人差し指を立てて言った。
「私が泊まったあそこですか?」
「そうそう。あのホテル」
 中谷が手を叩いた。
「はいはい。そういう話は車の中でしようか。さあ、駐車場へいこう」
 亜夢たちは、バックネット近くの出入り口から入って、地下の駐車場へ向かう。
 パトカーにつくと、中谷が助手席に回った。
 美優の暗い表情に気付いたようだった。
「西園寺さん、苦しいかい?」
 テロリストが仕掛けた機械が止まり、超能力干渉波が全開で働きだしているはずだった。
 中谷が手を合わせて言う。
「キャンセラーなんだけど、二人の分で終わりなんだ」
「!」
 亜夢はそれを聞いて、急に白いキャンセラーを外した。
「美優、私の使っていいよ」
「亜夢、だって」
 亜夢は首を振った。
「きっと、美優は|精神制御(マインドコントロール)されているから、これをしていないとまた敵にに狙われるよ」
 それを見ていた中谷が言った。
「キャンセラーをした子が両端に座って、してない子が真ん中にすわると、してなくても多少は楽になると思うよ」
「そうなんですか?」
「じゃ、亜夢先に入って、アキナはそっちから」
 後部座席は運転席後ろにアキナ、真ん中に亜夢、助手席側に美優という順で座った。
 清川が運転席に座ってエンジンをかけると、助手席に座った中谷が聞いた。
 車は署に向かって出発した。
「どう乱橋くん?」
「多少…… は楽かも」
 本当はひどくつらかった。
 中谷は表情から気持ちを察した。
「二人とも、もっと頭を寄せてあげて」
 美優もアキナも亜夢と体を前後させて、耳と耳がつくように頭を寄せてみた。
「どお?」
 頭が痛いのは治らないけど、と亜夢は思った。別の部分がいろいろ触れられて、気持ちよくてうれしい。
 ハンドルを握る清川が提案する。
「ね、ホテルのへや、ダブルベッドの部屋1つにする? 三人で川の字になって寝れば真ん中のひとも寝れるんじゃない?」