キャンセラーをつけている人が、着けていない人のことを考えて心を痛めないように、そうしてもらった方がいいのかもしれない。亜夢はそう思った。
「そ、そうですね。そういうことできますか?」
「中谷さん、ちょっとホテルに電話してみて」
 中谷は不安げな顔をする。
「ダブルの部屋に3人の料金っていけるのかな」
 清川が怒ったように言う。
「出来るかどうかかけてみてから言ってください」
「は、はい」
 中谷がホテルに連絡を取ると部屋は空いていて、それでよければ構わないということだった。
 二人で使う部屋を三人入るため、かなり狭くなることが予想された。
 しかし、運転しながら清川が言う。
「いいなぁ」
 中谷がつまらなそうに答える。
「何が」
「中谷さんのことじゃないです。女子三人でお泊りのことですよ。ねぇ?」
「……」
「あれ?」
 清川がルームミラーを見ると、後ろの三人は寝てしまっていた。



 ホテルに着くと、中谷がホテル側に事情を話す。家出少女とかではない、とか料金は警察署が持つからという話を一通り話した。そして、部屋のキーを亜夢に渡した。
「チェックアウトは10時らしいから、それまでに署に来て俺か、清川くんを呼んで。チェックアウトしたら、ヘリが用意できるまでは署で待機かな」
「はい」
 亜夢の眉間にはしわが寄っていた。
 中谷はそれに気づいたようだった。
「つらい」
「ちょっとキャンセラーに慣れ過ぎた、っていうのもあるかもしれません」
「もう少し作れるように署長に掛け合ってみるよ」
「ありがとうございます」
 三人は手を振る中谷に頭を下げた。
 キーホルダーに刻印してある部屋番号を目指した。
 部屋のあるフロアでエレベータをおり、亜夢とアキナは荷物を抱えているのに、美優には何もなかった。
 アキナが言う。
「あっ、今気づいた、美優の着替え……」
「着替えは大丈夫だよ」
 美優は手を振ってそう答える。
「けど、下着は」
「……がまんするよ」
 以前泊まった時のことを思い出し、亜夢がフロア案内図を指さして言った。
「ほら洗濯は出来るよ。乾燥機も使えるからすぐ乾くし。それとも、今から買いに行く?」
「店開いてるの?」
「開いてるんじゃない? お腹も減ったし」
 亜夢はつらそうに頭に手を当てていたが、一方でお腹にも手を当て、言った。
「いってみるだけ行ってみようよ。高かったら買わなければいいだけだし」
「そうだね」
 部屋に荷物を置くと、三人はそのまま部屋を出た。
「亜夢、部屋着はあれつかうの? 浴衣」
「美優も思った? 浴衣って、ちょっと、あれだね。なんつーか」
 干渉波のせいか、二人の言っている意味がよく分からない亜夢は首をかしげた。