「ん~」
 亜夢はアキナの手を少しずらそう、と考えた。もっと気持ちがいい位置に……
「あっ……」
 アキナが、急に亜夢の感じるポイントを探りあてるのと同時に、背中側に体をピッタリ押し付けてきた。
 亜夢は激しい鼓動に連動した自分の息づかいで、さらに自分が興奮していくのが分かった。
 もう、ダメだ…… 美優に気付かれてもいい。美優の胸を触ってしまおう……
 震える手を美優の胸のそばに持っていくと、いきなりその手を引き込まれた。
「えっ?」
 汗ふきタオルと勘違いした、としか思えないような手の動かし方だった。
 違うのは、それはタオルではなく亜夢の手であることだ。
 美優の体の、さわりたかった部分を、なでるように動いていく。
「あっ……」
 美優も自分で当てておきながら、感じてしまったような声を出す。
 亜夢は、いきなり冷静になった。
「もしかして、二人とも覚醒している?」
 亜夢は思念波世界にダイブした。
 かなりの干渉波があって、はっきりと二人を見つけられないが、覚醒していれば、覚醒している姿が見えるはずだった。
 アキナの中では、何かけむくじゃらの抱きまくらにしがみついているのが見えた。
 場所は寮のアキナの部屋、そのもののようにも見えるが、寮部屋にしてはすこし小さくなっている。亜夢はどこが違うかがすぐわかった。同部屋の娘(こ)の机やベッドが省略されているのだ。
 アキナは寝言をいいながら、その抱き枕を揉んだ。
「あん……」
 そうか、これが連動して私の胸に……
 アキナの世界を抜け、亜夢は美優の思念波世界に入っていく。
『ん?』
 美優が裸で寝ていた。
 全身に汗をかいていて、手に持ったタオルで身体をぬぐっていた。
『こっちも現実そのまま』
 美優はそのタオルを股間へと滑らせるところだった。
『えっ…… あの……』
 その後も、亜夢は眠れないようなことばかりが起こった。
 ようやく落ち着いたころ、外は明るくなりはじめていた。
 干渉波は強かったが、夜中じゅう起きていたせいか亜夢は少しの間眠ることが出来た。
 三人はホテルのレストランで朝食をとっていた。
「やっぱり寝相ひどかったね」
「うん、帯以外はズタズタだったけど、へたすると帯も解けそうだったよ。それにしても亜夢は綺麗に寝てたね」
 オレンジジュースを置くと、亜夢が言った。
「ま、私の場合は、あまり寝れてない、ってのもあるけど」
「やっぱり干渉波キャンセラーの外は駄目だった?」
「いや、まぁ、それだけじゃないんだけど」
 亜夢がそう言うと、美優は深刻な面持ちで視線を下げた。
 そして小さい声で言った。
「AKKだっけ。マスターをつぶさないと、またテロを起こされるかもしれないもんね」
 亜夢は、自分より美優の方が真剣に今回の件を考えている、と思って反省した。
 女の子同士とは言え、肌を合わせてしまったせいで興奮して寝れなかった、とは言えなかった。
「……そうだよね。マスターを倒さないと、また同じことが繰り返される訳だもんね」
「まあまあ。亜夢も美優も、食べてるときぐらい楽しく行こうよ」
 亜夢も美優もうなずいた。
 亜夢はのしいこと、で一つ言いたいことがあった。
「そうだ美優、せっかく都心に三人でいるからさ、あそこの通りで写真とろうよ」