亜夢が後ろを向いて、美優とアキナの周りの状況を思念波世界で送る。
『ありがと』
 二人も表情を変えずにフードコートの中へ入ってきた。
「ふう……」
「さあ、なに食べようか」
「ラーメンかなー、ヒカジョの周りっておいしいラーメン食べれないし」
「私はミスバーガーがいいな。県内に一軒も無くて泣いたもん」
 アキナがラーメン、美優がバーガー。亜夢もどちらかだとは思っていたのだが……
「じゃあ、私は両方食べる」
「えっ、結構量多いよ?」
 美優が言う。
「けど、ミスバーガーはヘルシーだし」
「じゃ、ラーメンどうすんの?」
 アキナの問いかけに、亜夢は固まる。
「いいの! 食べたいものを食べるの!」



 軍の飛行場につくと、強烈な超能力干渉波で亜夢の顔が歪む。
「あ、キャンセラーは車から出る前に外してね」
「はい」
 アキナも亜夢と同じぐらい、つらそうな顔になる。美優もはずすと、それなりに影響を受けたように目を閉じる。
 車を止めると、中谷が先導してヘリの方に連れていく。
 乗り込むと今度は、VRヘッドセットを着けさせられる。
「西園寺さんは初めてだっけ」
「?」
「えっと、航空機や相当の乗り物に超能力者を載せる場合、VRヘッドセットを着けてもらうことになっているんだ。航空法の……」
「わかりました」
 美優はさっさとVRヘッドセットを付けた。
 亜夢とアキナは、中谷に接続されないように余った接続端子に指を置くと、VRヘッドセットを着けた。
「あれ…… 俺、警戒されてるね」
 亜夢たちは干渉波のノイズで苦しみながらも、楽しいVRの世界に入った。
 そこは、いつもの何もない真夏の島、そして海だった。
 準備が出来ると、ヘリは離陸し、ヒカジョのある場所までの飛行を始めた。
 ヒカジョの校庭上空に来た時は、もう日が落ちていた。
 さすがにVRのなかでも動きつかれた三人は、肩を寄せ合って眠っていた。
「乱橋くん、西園寺くん、森くん! 起きて!」
 中谷が叫ぶ。
 ヘリはすぐ引き返すつもりでプロペラを回している。
「起きて! 起きないと……」
 その瞬間、電気が走ったように三人の体が震えて、ヘッドセットを外し始めた。
「?」
 中谷は不思議そうな顔をする。
 一番先にVR装置をはずした亜夢が言う。
「ダメですよ。変なこと考えたら。すぐわかりますからね」
「えっ、何もしてないよ?」
「しようとしたじゃないですか」
 中谷は顔を真っ赤にした。
 三人がヘリを降り、ヘリに残った中谷に手を振った。
「ありがとうございました」
「元気でね!」