「お待ちのかたどうぞ」
 そう言って、次々に会計をしていく。
 コーラ、缶コーヒー、ポテチ…… 本当に統一性はなく、金額も大したものはなかった。しかし全員が購入し、また外の駐車場へと戻っていく。一人座り、二人座り…… かかとをべったりと付けて。
 俺は店内の客がいなくなると、また窓際に行ってそとの様子を確認する。
 見ていると、背中をつつかれた。
「刺激するなって」
 店長だった。
「駐車場が埋まっている訳じゃないんだから、刺激すんなよ。見た感じ乱暴な連中だから、恨まれたら店壊されちゃうよ」
「……」
 言われるまま窓際を離れたが、間もなく各々が買った菓子やら飲み物が終わると、急に一列に並んで入ってきた。
 中のゴミボックスに仕分けて捨て、出ていく。また仕分けてゴミを捨てて、出ていく。
 順番に八人がゴミ捨てを終えると、駐車場には戻らず、どうやら奥の畑の方へ進んでいく。
「ちょっと駐車場を掃除……」
 と言いながら俺は走って外に出る。
 連中は駐車場を降りて下の畑の中の道を歩いていく。ちょっと前の行動と同じだ。
 俺は店長が来ないかチェックしながら、畑の先に誰かいないか確かめる。
「!」
 誰かいる。しかし、遠すぎて見えない。
 うろ覚えの式神の知識を総動員する。たまたまポケットに入っていた紙にボールぺんで書く。
 俺はまだ、九字の印は分からない。
 額に人差し指と中指を着け、集中して想像したものを、頭から紙に動かすように指を当てる。
「動いた?」
 風で動いただけかもしれなかった。いや、風なんか吹かなかった。
 俺はもう一度気持ちを集中して、それを指を使って紙に伝える。
「えいっ!」
 自然に声が出ていた。
 紙が生きているようにビクビクと動き出すので、俺は怖くなって手を離した。
「えっ?」
 バタバタバタ、と音を立てて飛行し、紙は俺の指に戻ってきた。
「鳥? かな?」
 鳥、というより折り紙の『やっこさん』のような形だった。
 俺は懸命に念じる。
「あそこの様子を俺に伝えろ」
 手を振って、その紙の『やっこさん』を飛ばそうとする。
 バタバタバタ…… としばらく滑空して畑の方へ下りていくが、力尽きたように止まってしまった。
「ふう……」
 どうしよう。もう一度チャレンジするか……
「こら、早く駐車場掃除しちゃって」
 振り返ると店長が箒とチリトリをもって立っていた。
「ちょっと時間を与えるとサボろうとするのはやめてくれないか。まったく」
「サボってたわけでは……」
「私が箒とチリトリを取るのにも気づかなかったのに?」
 そう言われると変だ。俺は箒とチリトリを取りに行くフリをしてここにいる。ホンの一、二メートルのところを歩いて行き、扉を開け、箒とチリトリを取り出す。そんなことが出来るのか。そして、なぜ俺は気づけない?
「店長、何者ですか?」
「ただの店長だよ」