「上野さんと戦う、っていう意味、伝わったの??」
 と真琴は薫に言った。
「判らなくなって来たわ」
「こちらへ」
 佐々木ミキが示した場所に二人は移動した。それは用具室についている小さな窓の横であった。
「カーテンに隠れてください」
「え?」
「体は隠れないよ?」
 薫と真琴は驚いたように言った。
「あの… その…」
 薫は生徒会長の命令なのだ、と悟った。
「ですから…」
「良いわ、すぐ来るんでしょ? ほら、真琴も隠れて」
 二人は小さいカーテンに顔だけ隠れるように包まった。
 薫は小声で言った。
「もっとこっちに来ないと隠れられないよ」
「顔だけ隠して何の意味があんの?」
「まあまあ…良いじゃないたまには」
 と言い薫は少しずつ真琴に体を押し付けていった。真琴は顔が近づいてしまうので、顔を横に向けた。
 すると、薫も横を向き、ついに頬がピタリとくっついた。
「何してんの薫!」
 真琴はつい大声を出した。
 いつもの悪ふざけが始まった、と思った。基本的にあまり触れ合うことがないせいかのか、一度こうなるとなんかふざけが過ぎる気がしていた。
 佐々木ミキが小さい声でたしなめた。
「お静かに願います」
 頬は離したのだが、今度は耳を噛むような勢いで話しかけてきた。
「いいじゃんいいじゃん」
 息が耳に掛かる。
「良くないよ!」
 さっき真剣に向き合わないと怪我をするようなことを言ったのは薫じゃなかったか、と真琴は思った。
「いい加減やめて」
「やめるよ。やめるよ。やめて良い?」
「いいよ」
「良いの、良いのそれなら続ける」
 カーテンを突然めくられた。
「楽しそうですね」
 二人はミキに見おろされされ、固まったように動かなくなった。
「いい加減にしてください」
「ごめんなさい」
 薫と真琴は同時に謝った。